2023年3月1日水曜日

スポーツで言う「持っている」の起源はいつ?新庄剛志って本当?

■2016/1/3 ワールドカップで本田圭祐が言った「持っている」が流行語大賞に
■2016/1/3 スポーツで言う「持っている」の起源はいつ?新庄剛志って本当?



■2016/1/3 ワールドカップで本田圭祐が言った「持っている」が流行語大賞に

 記事は2010年11月30日のスポーツ選手はよく「持ってる」って言うけど何を「持ってる」の?(日経ビジネスオンライン     もり ひろし)というものです。

<自由国民社は11月12日、好例の『ユーキャン新語・流行語大賞』のノミネート語を発表しました。(中略)
 スポーツ関係のノミネート語で、ひときわ異彩を放っていたのが「持ってる」という言葉。言われなければ「これがスポーツ関係の言葉だ」と気付かないような表現です。もっとも「今年のFIFAワールドカップで日本代表チームの初戦後、本田圭祐選手が語った言葉だ」と説明されれば、当時の状況を思い出せる人も居るかもしれません。
 実は本田選手に限らず、最近はスポーツの現場で「彼は持ってるなぁ」、「自分は持ってると思います」などの表現をよく聞くようになりました。しかも野球、サッカー、ゴルフなどの幅広いジャンルに、この傾向が広がっています。実力とスター性を兼ね備えているスポーツ選手について、自称と他称を問わず使うことが多いようです>

 作者は「持ってる」の意味として、端的に言えば「強運」や「巡り合わせ」としていました。私は「ここぞというタイミングでのツキ」という言い方をしたいですが、大体同じですので特に異論はありません。ただ、私が気になったのは、別の部分でした。


■2016/1/3 スポーツで言う「持っている」の起源はいつ?新庄剛志って本当?

 問題は、「持ってる」という言葉が出現した時期について。記事で出ていた最古の例は以下でした。

<スポーツ選手が「自分自身」を指して「持ってる」と言い始めた時期は、わりと最近のことではないか。筆者はそのように考えています。個人的な観測範囲に限って言えば、そのような発言をしたキーパーソンが4人居ました。
 一人目は元プロ野球選手の新庄剛志でした。彼が2006年11月に通算10度目のゴールデングラブ賞に選ばれたときのこと。球団を通じて彼が発表したコメントの中に「持ってる」という表現が登場します。ちなみに彼はこの年の4月「シーズン終了後に引退する」ことを突然宣言して大きな話題になりました。当時所属していた日本ハムは、44年ぶり2度目の優勝を果たしています。
 彼が発表した文章はこんなものでした。「おれの華麗な守備を見せられなくなるのは残念だけど、引退の年にゴールデングラブに選ばれるなんて“持ってる”わ。日本ハムがこれからも最強の外野陣をつくってくれることを信じて、外から応援しとくばい」(参考:朝日深新聞2006年11月19日。括弧は削除、引用符は筆者が追加)>

 記事では起源を2006年と主張しているわけではないものの、もっと古くから使われている印象があるために私は違和感がありました。
 Jリーグ初期からかどうかは覚えていないものの、なぜか良いところにいてゴールを決めるストライカーのような選手に対して、「持っていますからねー」とか「持っているものがある」とかいった解説がされることはちょくちょくあったと思います。
 なので、私はこの用法の「持っている」に全く違和感がなかったです。ところが、私がサッカーをよく見ていたのは、2006年より前、2004年初めまで。新庄選手の2006年の頃はむしろ観戦していない時期なのです。
 なので、2003年には既に完全に定着していたのではないか?と予想しています。全然証拠がないので、壮大な思い違いの可能性はありますけど。

 ちなみに作者はスポーツライターではなく、流行する言葉を探るライターの方。スポーツ解説というのは、活字媒体に残るものではないので、調査しづらいということもあるでしょう。
 なので、時期に大きなズレがあっても仕方ないと言えば仕方ないのですが、引っ掛かって仕方ありませんでした。