2023年11月25日土曜日

日本人選手がシュートが下手な理由を論文で明らかに 富岡義志雄教授(東京経済大学)

2022/05/15 見直して再投稿
■2015/10/23 日本人選手がシュートが下手な理由を論文で明らかに 富岡義志雄教授(東京経済大学)
■2017/09/04 タトゥー1つで身体能力が3~5%も低下、発汗機能や体温調節機能を阻害
■2015/9/18 サッカーは運動量が多いほど勝てる…は本当か? 日本と海外で違い



■2015/10/23 日本人選手がシュートが下手な理由を論文で明らかに 富岡義志雄教授(東京経済大学)

 <ゴールを決められる選手と決められない選手の違いはどこにある?>(フットボールチャンネル 2015年10月23日(Fri)11時27分配信 text by 木之下潤)によると、『得点力アップのためのヒント』という論文が出されたそうです。これはおもしろいですね。興味ありますわ。
 『得点力アップのためのヒント』という論文を発表したのは、東京経済大学のサッカー部の監督を務める富岡義志雄教授。2011年2月に発表された論文だそうです。

 よくありがちな「ぼくはこう思う」的な話は、はっきり言って信頼性が低いんですよね。なので、興味があるのはなるべくデータ的な裏付けがある部分です。まず、以下のところは「そう言っていた」という話だけです。

「とある本に、こんなことが書かれていました。ストイコビッチが名古屋グランパスエイトで日本人選手に対し『なぜパスをするたびに毎回止まってしまうのか。それでは相手にパスが読まれてしまうだけでなく、次の動き出しも遅れ、試合の流れが止まってしまう』と指摘したことがあると」

 ただ、ここから日本人選手のキックと、海外の選手のキックが異なるのではないかと考察。実際に蹴り方が異なるようで、違いについて説明されていました。

<日本人はキックの際、一連の動作で立ち足に重心をかけ続けているから次の動作が遅れる。重心を蹴り足と同じように前方へと移動させたら次の動作へスムーズに移行できる。
 論文には、日本人選手と海外の選手のインステップシュートのフォームを比較した表が記されている。そのなかには、おもしろい違いもある。『蹴り足の軌道』では、日本人はボールが上方に上がりやすく、海外の選手は低い弾道で飛ぶ特徴があるとか。ほかにも、『腰の動き』では、日本人選手は動かさず、海外の選手は捻るため、イメージとしては腰で蹴る感覚だとか>

 よりデータらしいデータも出てきます。2002年と2006年のワールドカップで得点となったシュートコースのデータを見ていました。これによると、得点となったシュートでは、海外の選手のキックの特徴が出たものが多かったそうです。

<ポイントは『高さ』だ。肩から上、腰から肩、腰より下で調べると、両大会とも70%以上、腰より下の低い弾道でネットをゆらしている。
 元ブラジル代表のジーコが「シュートはゴールにパスをするように打つのが基本」だとアドバイスをしていたことは有名だ。それと同様、データからもわかる通り、低い弾道の方がGKも防ぎにくいようだ。
 この前に、インステップシュートのフォームの違いに触れたが、『低い弾道』のシュートが蹴れる海外の選手が確率高くゴールを奪えているのはデータにも表れている>

 低い弾道の方が良いというのは、野球のホームランみたいな、よくあるド派手なシュートはダメな典型ってことですね。
 だいぶうろ覚えですが、昔、日本代表の経験もある望月重良選手がゴール左上隅に、柔らかく回転しながら曲がるシュートを打ち、キーパーにセーブされたことがありました。良いシュートでGKがナイスセーブ!という場面だったのですが、解説していたセルジオ越後さんは、「これはGKの見せ場を用意するためのシュートだ」といった趣旨のことを言っていたんですよ。
 つまり、見た目は良いシュートに見えるものの、意外にゴールキーパーが対応しやすい、ゴールの可能性の低いシュートだということでしょう。このシュートのことを思い出しました。この解説をしたセルジオ越後さんもブラジルですね。

 上記以外の話もおもしろいものばかりだったんですが、記事できちんとしたデータに触れていたのは残念ながらここだけでした。もっと知りたくなる論文です。




■2015/9/18 サッカーは運動量が多いほど勝てる…は本当か? 日本と海外で違い

  "J1リーグはファンに対して新たな情報提供サービスを始めた"そうです。

-----引用 ここから-----
 最新鋭のトラッキングシステムを利用して選手やチームの走行距離とスプリント回数を解析、そのデータを情報サイト『Jリーグ.jp』で見ることができるのである。

トラッキングシステムは軍事技術のミサイル自動追尾のシステムを応用したもの。メインスタンドに設置された2台の専用カメラがピッチ上のすべての動きを追尾することで、選手の走行距離やスプリント回数がデータ化され、数字として示すことができるのだ。

(略)トラッキングシステムが示す「走行距離」はいうまでもなく選手が試合中にプレーで移動する距離のこと。多ければ運動量が多いことを意味する。また「スプリント回数」は時速24km以上で走った回数を示す。時速24kmとは、400mを1分で走るスピード、100mでは15秒、50mでは7.5秒。これよりも速いスピードで走らないとスプリントとは見なされないわけだ。

Jリーグのデータで判明!選手の運動量とチーム成績は無関係!?|SPORTS セカンド・オピニオン|ダイヤモンド・オンライン  相沢光一 [スポーツライター]【第355回】 2015年7月14日
http://diamond.jp/articles/-/74856?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
-----引用 ここまで-----

 運動量が多いサッカーは、大好きです。ところが、以下のような結果になってしまいました。

-----引用 ここから-----
ファーストステージを優勝した浦和の1試合あたりの平均走行距離は113.189kmで18チーム中9位。同じく1試合あたりのスプリント回数は165回で8位と、ともに真ん中あたりなのだ。

1試合当たりの走行距離、スプリント回数とも1位だったのは湘南。走行距離は117.139km、スプリント回数は179回と浦和をかなり上まわる。だが、ファーストステージは6勝7敗4分で10位だった(略)。また、走行距離、スプリント回数とも2位だったのは松本だが、4勝10敗3分と負けが込んで15位だった。
-----引用 ここまで-----

 "湘南も松本も昨季はJ2リーグで戦い、運動量とスピードで他を圧倒して昇格を果たしたチーム"だそうで、J1になってから運動量が増えたわけではないそうです。
 ただ、J1では「走らされている」ということなのでしょう。うまくボールをキープされたり、速攻を食らったり、守りで走る場面が多いのではないかと想像されます。

 実際、運動量が極端に少ないクラブの方が上位にいます。おもしろいのは、運動量が少ないものの、スプリント回数は多いという点です。

-----引用 ここから-----
ガンバ大阪の1試合あたりの平均走行距離は112.072kmでリーグ14位と下の方だ。が、スプリント回数は173回で湘南、松本に次いで3位。通常は動きをセーブしていて体力を温存。だが、ここはチャンスと見たらスプリントして一気に攻めたて、ゴールをものにしてしまう。ガンバ大阪はファーストステージ4位(略)

名古屋も同様の傾向がある。チームの平均走行距離はリーグ最低の108.338kmだが、スプリント回数173回はガンバ大阪と並んで3位。(略)名古屋はファーストステージで9位に終わったが、運動量ではるかに優る湘南や松本よりも順位では上。
-----引用 ここまで-----

 残念ながら運動量の多さは関係ないものなのね、と納得しかけると、この後に大どんでん返しが待っていました。
 実はこのシステムはすでに欧州の主要リーグで採用されています。そして、"ドイツ・ブンデスリーガでは走行距離とスプリント回数に勝るチームが勝つ確率が高いというデータがある"のです。

-----引用 ここから-----
ドイツでは選手が相手のボールを奪うために常に動いている。そして奪った途端、相手の守備陣形が整わないうちに一気に攻撃するというサッカーをする。労を厭わず走りまわり、スプリントを何度でも繰り返すよりハードでスピーディなプレーをしなければ勝利は得られないという考え方があるのだ。
-----引用 ここまで-----

 記事では、ブンデスリーガ以外のデータがなぜかありませんでした。他のトップリーグのデータも見ないと、単に「お国柄」という可能性があります。
 とはいえ、運動量が少なくても勝ててしまう…というJリーグのレベルの低さを示している可能性は否定できず、ショッキングなオチでした。




■2017/09/04 タトゥー1つで身体能力が3~5%も低下、発汗機能や体温調節機能を阻害

 私も正直タトゥーは嫌いですが、タイトル見て偏見では?と思ったタトゥーはサッカー選手に悪影響? 独の大学教授が研究結果を報告 サッカーキング 2017年8月24日 08時58分 (2017年8月24日 13時53分 更新)という記事。
 ただ、精神的な影響ではなく、肉体的な話でした。

 ケルン体育大学のインゴ・フロベーゼ教授がタトゥーとサッカー選手との関係を研究。タトゥーに使用されるインクの60~70パーセントは皮膚から血管にまで達して体内の血液循環に影響を与えることや、範囲の大きなタトゥーが皮膚の発汗機能や体温調節機能を阻害することを指摘しました。
 一つのタトゥーを身体に入れると、しばらくはフィジカル面で3パーセントから5パーセントほどパフォーマンスが低下すると言いますから、予想外に大きい値です。
 タトゥーについてフロベーゼ教授は、「私が責任ある立場にあったら、タトゥーは禁止する。小さなことかもしれないが、真剣に検討するべきだ」と各クラブへ対策の必要性を訴えたそうです。

 なお、タトゥーを入れている選手が活躍している…という主張は反論にはなりませんよ。喫煙でも似たような反論をする人がいるのですけど、条件を同じにしないと比較できません。
  わかりやすくするために極端な例を出すと、三流の選手が絶好調であっても、パフォーマンスが落ちている一流の選手にかなわないといった感じで、そもそもの能力が異なる人を比較するのは無意味なのです。