2023年5月28日日曜日

ヴェルディ社長らが辞任、今後ゼビオ批判をしないという宣誓取り付け

■2020/12/24 東京ヴェルディ、今度は経営危機で株主のゼビオと対立
■2021/01/16 ヴェルディ社長らが辞任、今後批判をしないという宣誓取り付け
■2021/01/16 「過剰な経費利用」「不透明な取引」…経営陣の闇を指摘



■2020/12/24 東京ヴェルディ、今度は経営危機で株主のゼビオと対立

 読売時代は強く名門だった東京ヴェルディですが、強くなくなってからは、何かとごたごたの多いクラブというイメージ。新型コロナウイルス問題で経営危機になり、なおかつ株主と対立ということになっています。ヴェルディ側としては増資したいものの、株主のスポーツ専門店のゼビオがこれを拒否するということになっているそうです。

<J2の東京ヴェルディが来年1月にも資金繰りが立ち行かなくなる可能性があることが15日、分かった。コロナ禍もあって経営が苦しくなり、クラブは約10億円の増資を目指して投資企業を募り、増資のめどが立った。しかし、影響力のある株主のゼビオホールディングス(本社・福島県郡山市、以下ゼビオ)が、新たな投資家の出現を望まないとして、クラブと対立していることが判明した>(東京V来月資金ショートも 株主ゼビオが増資に難色 - J2 : 日刊スポーツ[2020年12月16日5時1分]より)

 今季だけで約5億円の赤字の見通しであり、来年である2021年1月末までに運転資金が底をつく可能性が出てきいるとのこと。しかし、株式の保有割合に合わせて交付を受けられる新株予約権などの権利を持つゼビオ側が増資には否定的。Jリーグ幹部も「今の体制を一新して、ゼビオが経営するのがスムーズ」とし、ゼビオが新株予約権を行使して、経営の主体となって東京Vを立て直すしかないのではないかと指摘しているそうです。

 ただし、ゼビオの株価にはマイナスの影響があり、こちらも険しい道。「より現実的な選択はゼビオが新株予約権を行使して東京Vの現経営陣を一掃した上で、タイミングを計り、他の企業へ転売することだろう」と指摘する声もあるそうです。なお、記事では企業による私物化は、Jリーグの理念に反するという指摘もしています。




■2021/01/16 ヴェルディ社長らが辞任、今後批判をしないという宣誓取り付け

 上記を書いたすぐ後、 12月25日に東京ヴェルディは、6人いる取締役のうち、羽生英之社長を含めた3人の取締役の辞任を発表。羽生英之社長らにより、東京ヴェルディは、増資を目的とした臨時株主総会の開催を12月27日に予定していたのですが、直前になって突然の辞任です。そして、大株主のゼビオホールディングス(HD)が東京ヴェルディの子会社化に踏み切り、臨時株主総会も急遽取りやめとなりました。

 また、辞任発表では、辞任した取締役3名から「弊クラブの信用や評価を毀損する行為を辞任以降行わないことの宣誓」を取り付けている、との異例の注意書きがあるという異例のものでした。ゼビオは何も悪いことをしておらず、羽生社長らやサポーターがおかしいという反論もあるのですが、ここらへん異様さはあります。

 ただ、 Jリーグ事務局長から就任したという異例の社長だった羽生英之体制が失敗だったというのも事実でしょう。1度もJ1に昇格できなかっただけでなく、10年間の観客動員数は伸びずに平均以下。経営状況も良くなかった中での、新型コロナウイルス問題直撃でした。

 

■2021/01/16 「過剰な経費利用」「不透明な取引」…経営陣の闇を指摘

 社長やサポーターなどからゼビオ批判があった件ですが、東京ヴェルディを子会社化した「ゼビオ」の深謀 (東洋経済オンライン 遠山 綾乃 緒方 欽一 : 東洋経済 記者 2020/12/27 6:00)はこれに反論する内容。信じてよいのかわかりませんが、羽生社長が「元凶」と批判した新株予約権のスキームはもともと経営陣を守り、買収から守るものだとのこと。ゼビオが買い叩いたということもなく、むしろ支援し続けてきたとされていました。東京ヴェルディにこれまで投じてきた金額は、スポンサー料や新株予約権、人的支援も含めると10億円程度だといいますから、これについては確かに安くないと感じます。

 ところで、ゼビオは、今までの経営方針も批判しています。有望なユース選手を放出し大物選手を獲得していたため、短絡的だったと批判。また、経営が悪化した要因として、「過剰な経費利用等が常態化」「複数の不透明な商取引」があったとも指摘しています。これらが事実ならかなりヤバイところですね。黒いところがあります。

 また、中長期的には、女子チームやヴェルディの抱えるバスケットボールなどを含めた総合型スポーツクラブとしての強化を進めるとのこと。これが事実なら最初書いたときに予想されていたような短期の売却はなく長期保持ということになりますが、果たしてどうなるでしょうか?