2023年6月28日水曜日

大量補強は失敗する?マンチェスターユナイテッド、ACミラン、ジェフ千葉の例

■2018/12/21 サッカーの大量補強は逆効果 マンチェスター・ユナイテッドも失敗?
■2018/12/21 2年連続でガンガン補強してしまったファン・ハール監督
■2018/12/21 マンチェスター・ユナイテッド失敗の理由はいろいろ…
■2019/06/29 マンUのダメ監督が出てくる広告に、ファンの批判が殺到し削除
■2017/10/07 中国資本買収のACミラン苦戦、大量補強はサッカークラブを強くしない?
■2016/3/29(2020/10/21再投稿) 前代未聞の全員新加入スタメンのジェフ千葉 31人中24人退団で主力放出、19人加入
■2016/7/25 主力選手総入れ替えというジェフ千葉の実験は大失敗 関塚隆監督更迭で幕を閉じる
■2021/03/23 開幕スタメン11人中7人が新加入!大胆に変えたクラブとは…?


■2018/12/21 サッカーの大量補強は逆効果 マンチェスター・ユナイテッドも失敗?

 マンチェスター・ユナイテッドであまりうまく行かなかったファンハール監督。過去の記事を見ていると、うまく行かなかった理由の一つとして、私の持論である「選手変えすぎ」問題に絡むものが挙げられていました。

"新たな監督がチームに梃入れしようとする場合、選手の顔ぶれは変えずにシステムだけを変更するか、システムは従来のものを踏襲して選手を替えるか、いずれかの方法を採るケースが多い。理屈で考えれば選手を入れ替えつつシステムも組み替えるやり方もあるが、あまりにもリスクが大きいため、この方法を選択する監督は少ない。そして、ファンハールが選んだのは、この最もハードルの高い方法だった"
(ファンハールが見誤ったものは何か。システム変更、選手補強、プレミア。 - Number Web - 田邊雅之 2014/10/02 10:40より)

 なお、これ以外に、センターバックの補強を軽視したことを指摘されていました。

"選手の入れ替え方にも問題がある。ファンハールは攻撃的な選手としてファルカオやディ・マリア、中盤ではエレーラやブリント、ディフェンスラインにルーク・ショーやロホなどを獲得している。一見すると満遍ない補強に映るが、実はバランスは良くない。チームに残留しているメンバーを加えて考えれば、攻撃的な選手ばかりが多く、中盤以降は能力的にも経験値的にも明らかに見劣りする"

■2018/12/21 2年連続でガンガン補強してしまったファン・ハール監督

 ただ、Wikipediaでは、「既存の戦力が機能し4位でシーズンを終え、来季とチャンピオンズリーグプレーオフへの出場権を獲得した」として、2014-2015シーズンは及第点の評価。あと、選手の獲得は上記よりさらに多かった感じです。


"2014年夏の移籍市場において、選手の補強費用に約260億円を投じた。ワールドカップブラジル大会で準優勝に輝いたアルゼンチン代表DFマルコス・ロホとMFアンヘル・ディ・マリアを、ファン・ハール監督のオランダ代表監督時代の教え子のダレイ・ブリント、アスレティック・ビルバオからアンデル・エレーラ、サウサンプトンFCからルーク・ショー、移籍期限ギリギリになって、ASモナコからラダメル・ファルカオを獲得した"

 そして、2015-16シーズンにまたガンガン選手を入れていました。

"PSVアイントホーフェンから2014 FIFAワールドカップでオランダ代表の3位入りに貢献し、ファン・ハール監督の教え子でもあるメンフィス・デパイを始めとし、ASモナコからフランス代表FWアントニー・マルシャル、バイエルン・ミュンヘンからドイツ代表MFバスティアン・シュヴァインシュタイガー、サウサンプトンFCからフランス代表MFモルガン・シュネデルラン、UCサンプドリアからアルゼンチン代表GKセルヒオ・ロメロ、トリノFCからイタリア代表DFマッテオ・ダルミアンを獲得した"

 チャンピオンズリーググループステージ敗退、ヨーロッパリーグベスト16で敗退、リーグでも来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を逃すなどの成績不振で解任。FAカップでは優勝しているのですけど、良くない結果と判断された模様です。


■2018/12/21 マンチェスター・ユナイテッド失敗の理由はいろいろ…

 上記のように下書きしていたのですけど、このタイミングでモウリーニョ監督まで解任に。まとめられていた記事を見ると、失敗の理由はいろいろといった感じでした。

<デイビッド・モイーズ>
  モダンなサッカーを目指したファーガソン時代から一変、サイド攻撃一辺倒とも言える時代遅れのゲームプランで前時代的な戦術にシフトし崩壊。
<ルイ・ファン・ハール>
  2014/15シーズン夏に積極的な補強。まずまずの1年だったが、2015/16シーズンにも積極的な補強。Aカップこそ優勝を飾ったが、新規メンバーが振るわず、解任。
 <ジョゼ・モウリーニョ>
  2年目はまずまずの成績を収めたが、3年目はチームとして目指すべきサッカーが明確になっておらず、アイデンティティが完全に失われ崩壊。
(モウリーニョまでも…。マンUはどのように崩壊したのか。栄光からの転落を5つの時代で辿る【編集部フォーカス】フットボールチャンネル | スポーツ | 2018年12月20日より)
https://pex.jp/point_news/8fda518df4b195b596c5724b29dc094b


■2019/06/29 マンUのダメ監督が出てくる広告に、ファンの批判が殺到し削除

 ファン・ハール時代であり、彼を含めた以降の監督の失敗を踏まえていませんが、ファンとしては顔も見たくない? マンU前監督モイーズを使用した広告に苦情殺到、削除へ | (フットボールチャンネル 2014年07月24日)という記事がおもしろかったので紹介。
 マンチェスター・ユナイテッドの公式TV「MUTV」が、プレシーズン最初の番組で導入部の広告にデイビッド・モイーズ前監督を使用したことで、ファンから批判を受けて削除するということが起きたそうです。
 ただ、持ち上げていたわけではなく、「モイーズが王朝を崩壊させ、(引用者注:当時の監督である)ファン・ハールとギグスが再建を図るという内容」でした。これはこれで趣味悪かったですね。
 で、そのファン・ハールさんもさんざん。今でしたらファンは誰が一番失敗した監督だと選ぶのでしょう?




■2017/10/07 中国資本買収のACミラン苦戦、大量補強はサッカークラブを強くしない?

 中国資本による企業買収は、意外にうまく行っています。日本ではバッシングされることが多いものの、欧米の経済誌や新聞などは高い評価を与えていることが多いです。
 セリエAの名門ACミランも中国資本に売却されていました。そして、中国資本を使って大量補強。私は別にふーんくらいのもので、興味はなく紹介もしていませんでした。

 ただ、よく考えると、私はサッカークラブの大量補強はチームを壊してしまうとして、ネガティブな見方だったのでした。すっかり忘れていました。
 中国資本による買収を企業が歓迎する理由の一つは、こういう風にお金だけ出して好きなことをやらせてもらえるためなのですが、サッカーの大量補強の場合は従業員を総とっかえするようなもの。そんなんで、チームワークなんか良いはずがありません。
  日本ではジェフ千葉が、ACミランより極端な変更を行って、派手に失敗したことがあります。

 私がACミランの失敗について読んだのは、ミラン、未熟さ露呈し2連敗。大量補強の反動。モンテッラ監督の立場は厳しく フットボールチャンネル | スポーツ | 2017年10月02日 という記事。
 この時点で、大量補強を図ったはずのミランは2連敗。この日は途中まで良かったものの、運動量が落ちた時間でガタガタっと崩れました。これが連携の問題ではないかと、作者の神尾光臣さんは見ています。

  以下のように、監督は早くもピンチだそうな。

"試合後、地元メディアは早速モンテッラ監督の苦境を伝えている。大量の新戦力を短期間のうちにまとめる作業はどの監督にも簡単ではないはずで、同情の余地はある。機能するまでには時間も必要だろうが、強大補強で期待を膨れ上がらせた周囲は待ってはくれない"

 ただ、 私は監督ではなく、補強したフロントの問題だと思います。大量補強でチームがまとまるはずがないのは、わかりきったことですからね。


■2016/3/29 前代未聞の全員新加入スタメンのジェフ千葉 31人中24人退団で主力放出、19人加入

  うまくいくかどうかは別として、嫌いなやり方だなと思いますね。<「24人退団19人加入」ジェフ千葉の実験はどう転ぶか|SPORTS セカンド・オピニオン|ダイヤモンド・オンライン  相沢光一 [スポーツライター] 2016年3月29日 >という記事が出ていました。
-----引用 ここから-----
 千葉は昨オフ、前代未聞のチーム大改造を行った。昨季の登録選手31人中、24人が移籍や契約満了、引退などでチームを去ったのだ。チームの4分の3がいなくなったことになる。それも出場機会に恵まれない若手ではなく、多くが主力としてプレーした選手。

 J2リーグは42試合が行われるが、そのうち39試合に出場して14ゴールをあげたネイツ・ペチュニク(大宮に移籍)をはじめ、39試合出場のキム・ヒョヌン(福岡)、36試合のパウリーニョ(湘南)、中村太亮(磐田)、35試合の大岩大貴(仙台)、金井貢史(横浜Fマリノス)などが退団。

 その代わり、19人が新たに加入した。主力をほぼ総入れ替えしたようなものだ。当然、試合に出場するメンバーは昨年とは一変した。開幕戦の徳島戦のスタメンは11人中、9人が新加入選手。第2節の岡山戦はそれが10人になり、第3節の横浜FC戦ではついにスタメン全員が新加入になった。
http://diamond.jp/articles/-/88642

-----引用 ここまで-----

 同じクラブから取ってきたわけでもないので、前所属クラブバラバラ。川崎が二人いるだけです。

 ただ、気に食わないことに、"5試合の成績は3勝1敗1分"。好調なのです。"多くが昨年J1のクラブに所属し、実力は認められていたものの層の厚さから出場機会に恵まれなかった選手"であることは指摘されていました。また、"日本代表だって寄せ集めだ"ともありました。とはいえ、代表だって少しずつチームを作っているわけですからね。毎年ゼロからやり直すわけじゃありません。

 一方、筆者はネガティブな指摘も二つ。

・クラブとして長いリーグ戦を勝ち抜くには選手同士が互いのプレースタイルや個性などを熟知している方がベター。
・サポーターにはクラブそのものを愛する思いとは別に選手に対する愛着もある。

 ただ、後者に関しては、"ホームゲームの平均観客動員数は昨年は10725人、今季は10013人と、そう大きく減っているわけではない"とのこと。誤差範囲ですね。おもしろくないものの、うまくいってしまうかもしれません。



 ■2016/7/25 主力選手総入れ替えというジェフ千葉の実験は大失敗 関塚隆監督更迭で幕を閉じる

 ジェフはむしろ好きな方のチームだったのですが、メンバー総入れ替えは気に食わなかったのでほら見ろ!という感じです。

  ジェフ千葉は考えられないメンバー総入れ替えということをやっています。主力とタイトルで書いたものの、本当ごっそり買えました。31人中24人ですからね。

 ジェフ千葉は昨年までも低迷していたので、このバカな補強方針のせいで低迷とも言いづらいものの、少なくともうまく行かなかったとは言って良いでしょう。

-----引用 ここから-----
J2千葉はなぜ昇格できないのか 降格後6年半で7人目の指揮官誕生 ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2016/07/25/kiji/K20160725013034350.html

J2千葉は25日、関塚隆監督(56)が退任し、後任監督として長谷部茂利コーチ(45)が指揮を執ると発表。小倉勉ヘッドコーチ(50)と里内猛フィジカルコーチ(59)の退任も併せて発表した。

 クラブはリリースで「監督を交代する」という言葉を使ったが、関係者によると、関塚監督は3―4で敗れた24日の清水戦(フクアリ)後に「休養」という表現で事実上の解任を通告されており、44年ぶりのベスト4進出を果たした2012年ロンドン五輪でも関塚監督のもとでコーチを務めた小倉、里内両コーチは25日午前に解任通告を受けたという。

 勝負は結果がすべてだ。14年7月から千葉を率いていた関塚監督は、3年目を迎えた今季もここまで8勝9分け8敗でJ1昇格プレーオフ圏外の9位に低迷。最近10試合でわずか2勝にとどまっており、目標である8年ぶりのJ1昇格に向けて順調だったとは言い難い。[ 2016年7月25日 15:43 ]
-----引用 ここまで-----

 ただ、他のコーチらまでセットで解任というクラブの方針もよくわかりませんね。人いなすぎじゃありません? 記事では、潤沢な資金にも関わらず昇格できないなど、フロントも問題だとしていました。まだしばらくは千葉の昇格はないかもしれません。



■2021/03/23 開幕スタメン11人中7人が新加入!大胆に変えたクラブとは…?

 J1開幕スタメン、昨季最終節と比べてみました 11人中7人も変えた“超”大胆クラブは…【全20クラブ布陣図つき】 - Jリーグ - Number Web - ナンバー(2021/03/06)という記事があったので、「大量補強は失敗する」説を確かめるために、事前チェックして見ようかな?と思いました。ただ、「昨季最終節と比較」というのは微妙。開幕はベストメンバーであることが確実ですが、最終節は消化試合となって若手を起用して経験するなど、ベストメンバーでないことも多いためです。
 そういった細かいところは抜きにして、とりあえず、大量補強したチームの話を。浦和・名古屋は、「新監督招聘or大型補強も、昨季在籍組が健在」という形。大量補強で失敗パターンはきちんと定義していないのですが、このケースはそこまで大崩れしないんじゃないですかね。とはいえ、変化ありきで拙速に変えていく中で崩れていく…という可能性はあるかもしれませんね。崩さずに変えていけるかどうかは、監督の腕の見せ所でしょう。
 わかりやすく変化していたチームとしては、「選手も監督も布陣も変化/代表例:清水・仙台」となっていました。エスパルスの場合、公式戦初戦でスタメンに並んだ新戦力はなんと7人だったとのこと。新しい選手ですから、間違いなく変わりました。ただ、「GKの権田修一から最前線のチアゴ・サンタナまで、よくぞ2カ月でチームとして仕立てたものだと感じた(さらに成熟させるのだろうけど)」としており、記事の評価はたいへん高い評価。失敗しそうにない感じですね。