2023年10月2日月曜日

Jリーグはイングランド5部クラブを見習え!貧乏クラブの大金の使い道

■2017/02/11 JリーグはDAZNバブルに浮かれすぎ もっと長期的視野を持って
■2017/06/11 巨額契約はむしろ危ない 米FOXは僅か2年でプロ野球放映撤退
■2017/02/18 Jリーグはイングランド5部クラブを見習え!貧乏クラブの大金の使い道
■2017/03/11 4部クラブがシーズンチケット国内最多記録更新 ポーランドのクラブ
■2021/12/12 川崎フロンターレとヴィッセル神戸、大金の使い道の違い
■2017/06/29 JリーグのJ1昇格プレーオフが日本サッカーの質を下げている
■2017/06/29 入れ替え戦復活とJ1参入プレーオフができた理由


■2017/02/11 JリーグはDAZNバブルに浮かれすぎ もっと長期的視野を持って

 DAZN(ダ・ゾーン)と10年間総額2100億円という大型契約を結んで、バブル状態のJリーグ。ただ、これで浮かれてちゃいけないと思うんですよ。
 どこの国の何のスポーツの例だったか忘れちゃったのですが、やはり大型契約したものの、採算が取れないと見るや即撤退で、当初の計画がすっかり狂ったというリーグがあったそうです。
 Jリーグもせっかく得たこの貴重な資金を、無駄遣いするのではなく、よく考えて使っていくべきです。

 …と思っていた中で、以下のようなニュースが入ってきました。

Jリーグ、J1クラブに総額27.8億円の「理念強化配分金」を支給 フットボールチャンネル | 2017年02月09日

  以下のように大盤振る舞いしています。

・J1の優勝賞金が昨季の1億円から3億円に増額。
・リーグ上位のクラブは「理念強化配分金」を受け取ることができる。

 理念強化配分金というのは、「Jリーグの理念の実現に対して拠出すること」が目的。一応何に使って良いというわけではなく、配分されたクラブはJリーグが用途を審査した上で使用することができるという建前。

 しかし、「選手の獲得費用や育成の資金に充てることができる」とありました。育成はともかく、選手の獲得に使えたらこれ、散財して終わりって可能性が高いですね。これだと、バブルが弾けた後のリーグの資産にならないので、支持できません。

 金額的にも、例えば2017年シーズンの優勝クラブは賞金と合わせて3年間に渡って総額18億5000万円を受け取ることができるということで、やはり高い金額です。

 今サッカーのバブルと言うと、中国の選手爆買いが言われています。これについて、私は正当な競争であるし、Jリーグもかつては似たようなものだったので批判はしていません。ただ、日本人でも批判的な人はきっと多いことでしょう。

 しかし、日本人は中国のサッカーバブルを心配するより、Jリーグのバブルを心配すべきです。こんなチャンス二度と来ないかもしれないんですから、もっと実のある使い方をしてほしいです。


■2017/06/11 巨額契約はむしろ危ない 米FOXは僅か2年でプロ野球放映撤退

 思い出せなかった"どこの国の何のスポーツの例だったか忘れちゃったのですが、やはり大型契約したものの、採算が取れないと見るや即撤退で、当初の計画がすっかり狂ったというリーグがあった"の話。
 記事を見つけました。日本のプロ野球の話でしたわ。

  Jリーグ放映変更で浮かぶ懸念 日経ビジネス2017年1月30日号(林 英樹)

  記事によると、スポーツメディア業界では「FOXの二の舞いになる恐れがある」と危惧する声が広がっていたと言います。
 このFOXというのは、アメリカのテレビネットワークのこと。2012年、米FOXは日本のプロ野球の放映権ビジネスに本格参入していました。
 ソフトバンクのグループ会社と合弁会社を立ち上げ、福岡ソフトバンクホークス、千葉ロッテマリーンズ、オリックス・バファローズのパ・リーグ3球団の放映権を押さえることに成功。衛星放送などを独占的に手掛けていたのです。

 ところが、わずか2年で合弁会社を解散。理由は単純に儲けが少なかったためのようです。

「外資系企業は採算が合わないと判断したらすぐに切ってしまう。放映権ビジネスは相手との信頼関係が重要になるが、それが構築できず、ファンに迷惑をかけることになった」(パ・リーグ球団関係者)

 結果的に、放映機会の減少などによってファン離れが進むことになったということで、逆効果になってしまいました。
 Jリーグの場合も危ないというのは、放映権料があまりにも巨額であること。巨額の契約は良いことだろう…と浮かれているのかもしれませんけど、放映料を高く買い取ったということはその分採算ラインが上がるという話になります。ハードルが高いのです。




■2017/02/18 Jリーグはイングランド5部クラブを見習え!貧乏クラブの大金の使い道

 リーグの話ではなくクラブの話ではあるものの、Jリーグよりはお金の使い方がマシだと感じた話がありました。

アーセナルの相手は世界一の”ユニーク集団”!? 指揮官は無給で働く不動産オーナー 1,843 YOU フットボールチャンネル | 2017年02月17日 
 
 ユニーク集団というのは、別投稿でやったような話が理由です。

デブにもほどがある!体重115kgの太いゴールキーパーが実在、ウェイン・ショーというイングランド人GK

 ただ、今回の記事でも感心したのが、普段は不動産オーナーとして働いている、イングランド5部サットン・ユナイテッド監督の、ポール・ドスウェルさんの考え方です。

 監督は、クラブの監督としては無給で働いている上に、クラブに対して週に2000ポンド(約28万円)を融資も行っています。5部のクラブですし、貧乏クラブです。
 しかし、今回のFA杯の活躍で大金が舞い込んできました。

 FA杯では勝利するごとに賞金が発生します。さらに放映権料やチケット収入なども合わせると、すでに今までに獲得したことのないほどの金額がクラブに入っていることになる。
 ドスウェル監督は「サットンにとって素晴らしいおとぎ話だ。今後何年にも渡ってクラブを支えるほどのお金を調達できている」としていました。

 しかい、お金の使い道に関しては、選手の補強に使わないと言っています。
 スタジアムの屋根の補修や若い選手のための部屋を作るなど、本拠地とするガンダー・グリーン・レーンのために使うとのこと。

  記事では、「選手のため、そしてサポーターのためを一番に考えている」としていました。
 では、Jリーグのお金の使い方は、、「選手のため、そしてサポーターのためを一番に考えている」と言えるでしょうか?
 Jリーグの幹部らは、胸に手を当ててよく考えてみると良いです。


■2017/03/11 4部クラブがシーズンチケット国内最多記録更新 ポーランドのヴィジェフ・ウッチ

 戦績に関わらず地域に愛されるクラブというのは理想であり、秘訣があるのであれば見習いたいものだと思った話。

4部クラブが新記録樹立の快挙。シーチケ販売数でポーランド歴代最多を更新 フットボールチャンネル | スポーツ | 2017年03月10日

 ポーランド4部のヴィジェフ・ウッチが、1万5058席のシーズンチケットが売り、国内最多記録を更新したそうです。
 過去にトップリーグで4回の優勝経験がある古豪ではあるもののl、4部ですよ、4部。1990年代以降は財政難で低迷しているそうです。
 4部で快進撃を続けるという話ですらなく、第17節まで消化して18チーム中5位という状況。正直微妙なところです。

 また、現在ヴィジェフ・ウッチが使用するスタディオン・ヴィジェバの収容人数は18018人ということで、それほど多いわけではありません。
 そして、 収容人数18018人で、1万5058席のシーズンチケットが売れているということは、シーズンチケット購入者だけで座席のほとんどを確保しているという状況。驚くべきことです。

 結局、なぜそんなに愛されているのか?という話は、記事には一切なかったので、すごく気になります。深掘りしてもらえませんかね?


■2021/12/12 川崎フロンターレとヴィッセル神戸、大金の使い道の違い

 大金の使い道ということで興味があったのは、DAZNマネーの使い道。JリーグはDAZNとの契約により、さして苦労もしていないのに大金を手にしてしまいました。
 利益が出ないというのは困りものですが、難なく大金が入ってしまうのにも実はデメリットがあります。有効ではない使い道で浪費してしまうケースや、DAZNとの契約が切れたり変わったりして収入が激減したときといった急激な変化に対応できず、チームが破綻したり、人気が急落したり…といった可能性が出てくるためです。

 で、「大金の使い道」に関する記事はないかと検索して出てきたのが、2018/12/20の<2年総額44億円のDAZNマネーの使い道は?常勝軍団川崎への道。 Jリーグ財務診断「川崎編」 | VICTORY>という記事。鹿島ファンとしては残念ですが、川崎フロンターレはその後安定して好成績であり、うまいお金の使い方ができた考えて良さそう。特に上位の支払いが大きくなるDAZNマネーの流れにうまく乗れた感じですね。本当は鹿島にこうなってほしかったのですが、鹿島はつまずきました。
 そして、おもしろいのが、川崎フロンターレはこの巨額のDAZNマネーをむしろ堅実に使った…という事実。DAZNマネーが流入する前の話ですが、大物外国人にお金を浪費したヴィッセル神戸なんかと対比されていました。

<クラブ経営の転換期ともいえる巨額資金を獲得しても、川崎は“堅実経営”の姿勢を崩さない。昨季の優勝賞金はクラブハウスの食堂の新設や、幅広シートでトイレ付きのチームバスの購入、勝利給と年俸のアップなどの人件費に充てて足元を固めた。
 また、クラブ幹部は「選手層が厚すぎても薄すぎてもよくない。超大物の外国人を取りにいくこともない」と強調する。大枚をはたいて元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキを獲得したヴィッセル神戸や、元スペイン代表FWフェルナンド・トーレスが加入したサガン鳥栖は、終盤までJ1残留争いを強いられた。必ずしも結果に直結しないスーパースターの補強に川崎は興味を示さない。
 照準はセレッソ大阪の元日本代表MF山村和也らクラブの方針に合致する日本選手。元ブラジル代表FWレアンドロダミアンをインテルナシオナル(ブラジル)から完全移籍で獲得することも決まった。2012年ロンドン五輪の得点王で著名なストライカーではあるが、所属チームとの契約が満了したため移籍金はゼロ。必要最小限の投資でチームに足りなかった高さを持つ選手の補強を実現させるなど、一貫した方針で着実に選手層を厚くしている>
https://victorysportsnews.com/articles/7283/original

 このとき獲得したレアンドロダミアンは大活躍。特に2021年は得点王とMVPの両方を取っています。ヴィッセル神戸も見習えよ!という感じです。
 なお、2017年度の入場料収入は9億700万円、2018年のホーム試合の入場者数は39万4709人で、いずれも5位でした。2018年は1試合平均観客動員を2001年の3784人から2万3218人まで伸ばしています。ファンの獲得もうまく行っていますね。
 こういうのはすごく大事。私はこうしたファン獲得にお金を使ってほしいと思いますが、フロンターレの場合はこちらも大金かけて…ではなく努力して…といった感じみたいでした。

<相撲部屋とコラボして「塩ちゃんこ」という定番のスタジアムグルメを開発したり、レーシングカーをグラウンドに走らせるなどの異色のイベントを開催したり、はたまた「フロンターレ算数ドリル」という教材を川崎市内の小学校に配布したり、アイデアあふれる地道な活動を通じて多くのファンを獲得してきた“地域密着クラブ”には「DAZNマネー」にも浮足立つことのない経営の軸がある>

 なお、さまざまな仕掛けを中心になって作り出してきた天野春果プロモーション部長はその後、出向の形で東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に参加。ただ、東京五輪は国民への自粛要請そっちのけでお祭り騒ぎと特別扱いの連続で、特にプロモーション関係はひんしゅくを買いました。経歴に傷がついてしまった感じです。

■2017/06/29 JリーグのJ1昇格プレーオフが日本サッカーの質を下げている

 Jリーグの問題点としては、 J1昇格プレーオフの存在が指摘されていました。なぜ問題か?というと、プレーオフでJ1で昇格したクラブは、翌年降格しているため。
 つまり、本来昇格すべきではないレベルの低いクラブが昇格しているのです。これはリーグでハイレベルな戦いを維持するためには、明らかにマイナス。長期的には日本サッカーにマイナスに働いてきます。

"2013シーズンの大分トリニータを皮切りに、徳島ヴォルティス、モンテディオ山形、そしてアビスパとすべてJ1の最下位に沈み、1年でのJ2降格を余儀なくされてきた。
 入れ替え戦が廃止された2009シーズン以降の3年間における、J2の3位チームも傾向は変わらない。湘南ベルマーレ、アビスパ、北海道コンサドーレ札幌といずれも1年でJ2へUターンしている"
(Jリーグ、“入れ替え戦”復活の背景。上限クラブ数を「60」と想定した構造改革の視座 フットボールチャンネル | スポーツ | 2017年06月28日 より)

 また、本来J2に落ちるべきではないチームが落ちているというデータもありました。これは考えていませんでしたわ…。

"一方でJ1の16位でJ2へ降格したクラブの翌シーズンの成績を振り返ると、昨シーズンの松本山雅FCを除いて、6つのクラブがすべて2位以内に入ってJ1への返り咲きを果たしている。 しかも2013シーズンのヴィッセル神戸を除いた、5つのクラブが2位に大差をつけて優勝。なかには2014シーズンのベルマーレのように勝ち点を3桁に乗せ、2位に勝ち点差18をつけた独走劇もある"


■2017/06/29 入れ替え戦復活とJ1参入プレーオフができた理由

 この対策として、入れ替え戦の復活というのがあったようです。
  "J1昇格プレーオフを廃止し、従来のJ1の16位とJ2の3位が対戦する入れ替え戦に戻すべきでは、という声がJクラブの代表取締役で構成される実行委員会内であがっていた"とのことでした。

  ただ、J1昇格プレーオフという悪習を作ってしまったことで、既得権益ができてしまいました。

 "J2勢としては、可能性が大きく開いたJ1への扉はそのままにしておきたい。ある意味で綱引きの末に生まれたJ1参入プレーオフだったと、Jリーグの黒田卓志フットボール本部長は振り返る"

 こうした入れ替え戦や昇格・参入プレーオフ というのは、個人的には好きでした。独特のハラハラ・ドキドキ感があり、すごく盛り上がります。
 記事では、なぜこうしたことをやっているかはほとんど触れておらず、"予測不能のドラマとしては面白いものの"と書いていた程度。
 これは要するに、「マスコミなどに注目されるから」といった理由でした。

 ただ、個人的な好みを抜きにして冷静に考えた場合、リーグの質向上の方が日本サッカーのためになります。このやり方で終わりではなく、より改善していく必要がありそうです。