2023年11月3日金曜日

FIFA副会長はたくさんいて、1人は必ずイギリスから選ばれる

■2021/04/23 FIFA副会長はたくさんいて、1人は必ずイギリスから選ばれる
■2021/04/23 イギリス枠のFIFA副会長、差別発言だらけで辞任してた…
■2021/06/03 FIFA会長とFIFA副会長が対立して仲が悪いということはよくある
■2021/06/03 ブラッターFIFA会長はカネをばらまいて票を買った?疑惑だらけ


■2021/04/23 FIFA副会長はたくさんいて、1人は必ずイギリスから選ばれる

 昔FIFAの副会長はすごい権限を持っている!みたいなデマが日本のネットで出ていたのですが、FIFA副会長はたくさんいるんですよね。また、FIFA会長とFIFA副会長が対立して仲悪いということもよくありますので、FIFA副会長だから絶大な力があるとも言えません。FIFA会長の権力がすごいのは本当なので、むしろFIFA会長と対立してしまっていた場合、力を発揮できなくなります。
 ここらへんのFIFA会長の権力については今度書きます。先にFIFA副会長の人数について。私は各大陸の連盟(6つの大陸競技連盟)から1人ずつだと思っていたのですが、そういう話はFIFAのWikipediaページにはなし。さらに、「1人は必ずイギリスから選ばれる」とWikipediaに書いていてびっくりしました。

 これは、<UEFAに所属するイギリスの本土4協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各協会)は、競技としてのサッカーの成立過程およびFIFAへの加盟に関わる歴史的背景から、特権的な地位が与えられている>という説明のところであったものです。
 <FIFA副会長(定数7)の1席がこの4協会のいずれかに保証されており、本土4協会のすべてが役員選で落ちることはあり得ない>とのこと。ここで副会長の定数が7であることもわかりますね。いっぱいいます。
 なお、特別扱いとしては、<サッカーのルールや重要事項に関しては、FIFAとこのイギリス本土4協会で構成する国際サッカー評議会が決定することになっている>という話もありました。

 上記だと7人なのですが、同じWikipediaページのFIFA評議会構成メンバーを説明する部分では、<FIFA評議会構成メンバーは、総会で選出されたFIFA会長1名、FIFA副会長8名、6つの大陸連盟(地域連盟)それぞれで選出された計28名で、全37名である>としていました。これだと8人ですね。
 なお、Wikipediaを見ていると、「上級副会長」という聞いたことのない名前の役職も発見。ただ、特に説明はありませんでした。謎です。

 とりあえず、私が閲覧時点でのWikipediaのメンバーを見てみると、私が記憶していた通り、各大陸から一人っぽい感じに見えました…が、1人該当しない方がいます。この説明がなかったサンドール・チャーニさんは、どうもハンガリーのようです。やっぱ大陸は関係ないんですかね。あと、先程書いたイギリスの本土4協会の人がいないのですが、辞任したためかもしれません。こちらは後述します。

上級副会長
サルマーン・ビン・イブラーヒーム・アール=ハリーファ アジアサッカー連盟(AFC)
副会長
アレクサンデル・チェフェリン  欧州サッカー連盟(UEFA)
アレハンドロ・ドミンゲス 南米サッカー連盟(CONMEBOL)
パトリス・モツェペ  アフリカサッカー連盟(CAF)
ヴィクター・モンタグリアーニ 北中米カリブ海サッカー連盟(Concacaf)
サンドール・チャーニ
ランバート・マルトック  オセアニアサッカー連盟(OFC)


■2021/04/23 イギリス枠のFIFA副会長、差別発言だらけで辞任してた…

 さて、なぜかいなかったイギリス枠の副会長の話。<差別発言のFA前会長、FIFA副会長の職も辞任>(国際ニュース:AFPBB News 2020年11月13日)などの話が出ていました。

<一連の攻撃的な発言で2日前にイングランドサッカー協会(FA)の会長を辞任したグレッグ・クラーク(Greg Clarke)氏が12日、国際サッカー連盟(FIFA)の副会長としての職務からも退いた。
 63歳のクラーク氏は、多様性をテーマにした英下院デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会で、黒人のサッカー選手に対して「coloured(有色)」という人種差別的意味を持つ言葉を使うなど、一連の「容認できない」発言をしたとして10日にFA会長を辞任した>

 英下院デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会では、で同性愛を「人生の懸かった選択」と称したり、少数派の民族に対して「キャリアに対する関心が異なる」と話したりしたほか、女子サッカーに関しても物議を醸すコメントをしていたとのこと。あらゆる差別に手を出している感じですね。すごいですわ。
 これを読むと、<クラーク氏の辞任を受けて、FAはピーター・マコーミック(Peter McCormick)氏を暫定的に会長に指名し、来年3月中には新しい会長を任命する意向を明らかにした>ともありました。やはりこの関係で上記に記載がなかったのかもしれません。

 なお、この差別発言辞任の関係では、余波として、<強気な森会長に呆れる海外 3ヶ月前にはFIFA副会長が差別発言で辞任したばかり – ニュースサイトしらべぇ>という記事も出ていました。森喜朗会長も最終的には辞任に追い込まれたものの、スパッと辞めさせられなかったため、日本には差別をなくすという五輪精神がないと思われてしまったかもしれません。

<「東京五輪のボスは会議に女性を呼びたくない性差別主義者」と海外メディアもさんざん叩いている、東京五輪・パラリンピック組織委員会・森喜朗会長による失言の問題。
 目立ってきたのが「謝罪のみで解決なのか」「それでも辞める気はない」といったタイトルだ。スポーツ界においては、わずか3ヶ月前にビッグな辞任劇があったばかり。海外の人々は森会長が感じている以上に、差別というものに敏感なのだ>


■2021/06/03 FIFA会長とFIFA副会長が対立して仲が悪いということはよくある

 最初に書いていた「FIFA会長とFIFA副会長が対立して仲悪いということがよくある」「FIFA会長の権力はすごい」の話。2002年の日韓ワールドカップの頃の<FIFA泥仕合 会長選でW杯どころじゃない?>(02/05/25 朝日新聞)という記事は、そこらへんの話が見える話でした。

<事務方のトップ、ゼンルフィネン事務総長がブラッター会長を不可解な会計処理などで告発>
<(引用者注:報告書は、)「(サッカー途上国に資金援助をする)ゴール・プロジェクトの乱用」「アベランジェ前会長に対する不可解な5万5千ドルの支払い」「00年に就任した理事に対し、支払う必要のない98~00年分の報酬計10万ドルの支出」など報告書は21ページに及ぶ>

 会長選の対立候補、アフリカ連盟のハヤトウ会長(FIFA副会長)陣営も、当然この問題を批判。以下のように、ハヤトウFIFA副会長には他の副会長が味方しており、「FIFA会長とFIFA副会長が対立して仲悪いということがよくある」というには、わかりやすい例となっていました。

<現在の情勢は、2期目を狙うブラッター会長がハヤトウ氏をリードとの見方が一般的だが、前回98年の会長選挙でブラッター会長に敗れた欧州連盟のヨハンソン会長、韓国協会の鄭夢準会長がハヤトウ氏と組んで反ブラッター包囲網を形成。10日には、FIFA理事11人が会長を資金流用の疑いでスイス地検に告訴する事態に発展した>


■2021/06/03 ブラッターFIFA会長はカネをばらまいて票を買った?疑惑だらけ

 FIFA理事会は副会長7人のうち5人が会長に辞任を勧告したそうで、ブラッター会長とむしろ仲が良い副会長はほとんどいません。ところが、会長選はFIFA加盟の204協会による投票で決まりますので、副会長と仲が悪くても問題なし。実際、このときも当選しています。ここに「FIFA会長の権力はすごい」の話が関係していて、なおかつ汚職的な問題があります。

<ブラッター会長には現職の強みがある。例えば会長が創設したサッカー振興支援計画「ゴール・プロジェクト」。途上国に資金援助をするプログラムの予算は1億スイスフラン(約80億円)。選定委員会のトップはブラッター派のハマム理事だけに、配分先の選定に会長の意向が反映されると見るのが自然だろう。現在までに117協会が恩恵を受けており、その多くがブラッター会長支持になびく可能性が高い>

 FIFAの商業化という問題もあります。W杯のテレビ放映権だけで1千億円以上、スポンサー料などのマーケティングで400億円以上と、FIFAのビジネスが日韓ワールドカップから大きく膨れあがったことも指摘されていました。

<今大会のチケットの印刷、発送は、FIFAと利権でつながっている英国のバイロム・コンサルタンツ社が当たった。チケット扱いの実績がほとんどない会社が請け負い、印刷や配達の遅れなど、混乱が生じた。「元々、W杯をやれるような会社ではない。押しつけられた我々の方が迷惑」と、日本組織委員会(JAWOC)の憤りは収まらない>
<テレビ放映権では、FIFAと契約したISLとキルヒメディアが共に破綻(はたん)する事態に発展した。ISLはアベランジェ前会長、ブラッター会長と密接な結びつきがあったとされる。両社の破綻でFIFAも多額の損失を被った>

 上記までになかった話でも、まだ問題が報じられていた模様。例えば、98年会長選挙でブラッター氏陣営が買収工作をしたと、英紙デーリー・メールが報道。また、FIFAの財務状況を調べる特別内部監査委員会を、ブラッター会長が守秘義務違反を理由に独断で活動停止を決定するという怪しすぎることもやっていました。
 その後もブラッター会長は独裁政権をしばらく続けるのですが、2015年FIFA汚職事件でついに辞任。結局、お金の問題でやめることになりました。やっぱりそういう人だったんでしょうね…。日本の政治家を見ているようなひどさでした。