2023年8月4日金曜日

Jリーグはなぜ低レベル?そもそもレベルが低いって本当?

■2021/07/31 内田篤人・酒井高徳「Jリーグとヨーロッパは全く別のスポーツ」
■2021/07/31 日本とヨーロッパの決定的な違いは2つの「アクション」の違い
■2021/07/31 せっかくプレスに行っても足を止めて奪いに行かないのが日本流
■2021/07/31 Jリーグは低レベルで変える必要がある…という結論なのか?
■2021/09/20 欧州組が言う理想のサッカーってハリルホジッチ監督のサッカーでは?
■2017/01/04 Jリーグはなぜ低レベル?そもそもレベルが低い…というのは本当なのか?
■2017/01/04 日本版プレミアリーグ創設は、意外に悪くない案か?
■2017/01/04 高原直泰はJ2のレベルアップと日本サッカーのレベルアップを指摘



■2021/07/31 内田篤人・酒井高徳「Jリーグとヨーロッパは全く別のスポーツ」

 内田篤人が引退会見のとき、ちょうどCL決勝、バイエルン対パリ・サンジェルマンの翌日だったこともあり、内田はその決勝を引き合いに出して「CL決勝とJリーグの試合を見られるけど、違う競技だなと思うくらい僕の中では違いがある」と問題提起していたそうです。
 約半年後、酒井高徳がNewsPicksのインタビューで「篤人くんの意見に100%賛同です。篤人くんが『Jリーグは違うスポーツだ』と言っていたんですけど、僕たち海外を経験した選手が思っていることを代弁してくれたなって」としていたといいます。

「(Jリーグは)自分たちのリーグで自分たちのサッカーをやって、その中での勝ち方だったり強さだったりを見出している。だからヨーロッパのサッカーに近づこうとしているとか、モダンになっていくヨーロッパのサッカーに近づいているという印象は一切ないです」

 上記だけだと単純にJリーグのレベルが低いという話ではない可能性を感じました。ただ、これを取り上げた記事は、<内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」…欧州の日本人監督に聞く“どこが一番違う?”>(2021/7/27(火) 17:01配信 Number Web)というものでした。https://news.yahoo.co.jp/articles/dc6f035c0e812516ef745e564eda33d8a8b5f177

 なお、最初、私のこのインタビューを受けていた「モラス雅輝さん(42歳)」をラモス瑠偉と空目して、42歳って年齢おかしくね?と思ったら、「ス」しか合っていませんでした。ちなみにラモス瑠偉さんは今64歳だそうです。
 で、モラス雅輝さんはどんな人なのか?と言うと、ヨーロッパでもJリーグでも経験あるという人らしいですね。

<16歳でドイツに渡り、オーストリアで指導者ライセンスを取得し、先月、オーストリア3部のヴァッカー・インスブルックIIの監督に就任した。
 Jリーグでの指導経験も豊富で、2008年11月から2010年末まで浦和レッズのコーチ、2019年6月から2020年9月までヴィッセル神戸のコーチを務めた>


■2021/07/31 せっかくプレスに行っても足を止めて奪いに行かないのが日本流

 もう少し読み進めると、酒井高徳選手は「(日本は)海外と比べた時にはあまりにも消極的すぎるんです。守備も消極的すぎます」とも言っていたとのこと。モラス雅輝さんは、「ドイツ語圏だと『ボールを奪う』のは攻撃という認識があるんですよ。受け身ではなく、アクションを起こして主体的にボールを奪いに行く」としていました。これは単純なレベルの差ではなく、スタイルの差ですね。
 インタビューアーは「日本はプレスに行って相手に近づいても、1メートルくらい前で止まってしまい、足を出さない」と指摘。コメント欄によると、鎌田も「わざわざ労力をかけて前線からスプリントしてボール奪いに行ってるのに、いい形で奪っても一旦ボール落ち着かせるんじゃ労力かけてる意味がない」と言っていたとのことです。

 モラス雅輝さんによると、これは育成年代からの問題で、「日本の育成現場では『かわされるな』、『抜かれるな』という指示がよく飛ぶ」とのこと。一方、オーストリアのレッドブルでは、そのままとりに行くように指示されるそうです。
 コメント欄でも<初めてスポ少でサッカー習った時のディフェンスの基本は「一発で(取りに)行かない」、「抜かれないのが第一で、チャンスがあれば取りに行く」だった>というものがありました。これが日本のスタイルのようです。

 ただし、ヨーロッパでも国によって違うと、モラス雅輝さんは説明。スウェーデンのリーグでは、4-4-2で引いてブロックを作って守るスタイルが一般的で、そこまで前線からプレスはかけないとのこと。やはりレベルの差ではなくてスタイルの差という話でしょう。


■2021/07/31 日本とヨーロッパの決定的な違いは2つの「アクション」の違い

 また、ボールを奪った後もスタイルに差が出ます。日本は「ボールを大事にしよう」「つなごう」という意識。一方、奪ったあとすぐにリスクを冒して縦パスを入れるという意識は強くありません。高徳選手のインタビューでも、Jリーグの試合を見ていると、奪った後に1回ゆっくりつなごうという意識が強いという話があったそうです。
 「話をまとめると、『奪おうとするアクション』、『奪った後のアクション』、この2つの局面における強度と優先度に大きな違いがあると思います」という話でした。

 これについても、やはり指導の差ではないかといったコメントが出ていました。「失敗すると怒られるからじゃない?」として、「たとえば、奪ったあとすぐにロングの縦パスを飛ばすのがよいと頭ではわかっていても、日本国内ではそれをやれない。なぜか。失敗してボールを奪われると怒られるからだ。シュートを打たずにパス回しするのも同じ。日本選手がリスクを恐れないようになるには、失敗しても怒らない風土を作るしかない」と書いています。

 なお、「奪った後のアクション」については、スウェーデンも日本と違うかもしれませんね。ロシアワールドカップのスウェーデン代表は、攻撃では可能性の低いボールばかり入れていて良さがわからなかったのですが、これでうまく行くときにはうまく行っていました。ハマれば儲けものだから攻撃はいくらミスしてもいい…と割り切ったサッカーのようです。なるほど!と感心しました。

■2021/07/31 Jリーグは低レベルで変える必要がある…という結論なのか?

 単純なレベル差ではない…に関しては、「よく(引用者注:神戸でいっしょだった)高徳選手とも話したんですが、何を求めるかにかかっていると思います。僕はJリーグがすごく好きだし、Jリーグのサッカーはすごく魅力的だと思っています。日本サッカーが国としてボールを大事に扱うところに重点を置くのであれば、そこを追求するのは悪くないと思う」とのことです。
 ただ、「現実的にW杯で結果を残したいとなったら、インテンシティがあまり高くないサッカーだと結果は出づらい」とはコメント。一方で、「日本サッカー界全員が変わらなければならないというわけではありません」ともしていました。以下のような理由です。

「W杯に行ける選手はほんのわずか。登録メンバー23人のために数百万人を変えるという無茶苦茶なことはやる必要はない。日本のサッカー文化がありますし、日本の現場で長年浸透してきた考え方、感覚があるので、それは大事にすべきでしょう。ただ国際舞台で結果を残したい選手は、ヨーロッパの第一線で強度の高いサッカーを身につけて行く方がいいと思います」

 後半で「Jリーグはプレーレベルが高いし、経済的に安定しているし、環境が整っていますよね。僕は浦和や神戸という素晴らしいクラブにいましたけど、施設も素晴らしかったし、メディカル、チームマネジメント、運営、すべてがハイレベルでした。選手たちがサッカーと成長に集中できる環境が整えられていた」という話も。これまたやはり単純なレベル差ではないという話です。
 なので、<内田篤人も酒井高徳も認めた「日本サッカーと欧州サッカーの埋められない差」>という記事のタイトルはおかしかったですね。


■2021/09/20 欧州組が言う理想のサッカーってハリルホジッチ監督のサッカーでは?

 上記の内田篤人・酒井高徳などヨーロッパサッカー経験者の話を読んでいて思ったのは、「あれ、これって酷評されたハリルホジッチ監督のサッカーじゃね?叩かれたハリルが良かったんじゃ?」というものでした。
 私はハリルホジッチ監督の日本代表の試合は1回しか見ていなかったんですが、そのときの印象は前から守備できる選手を多く配置した上で、奪った後はすぐ前に運んで一発を狙うというサッカー。正直つまんなくて嫌いなサッカーですし、日本人に会うサッカーでもないと感じた一方で、良い選択だとも感じました。
 アジアではなくワールドカップで戦うなら、総合力で劣る日本にとっては良い選択だろうと思ったんですよね。なので、前回の話とピッタリ印象が合いました。嫌われるだろうけど、先を見てチームを作ってるいい監督だと関心しましたね。嫌われすぎて焦点を合わせてきたワールドカップ前に解雇される…という見事なオチがついたんですけど…。

 ただ、一方でハリルホジッチ監督は試合によってやり方を変えてくるという話も読んだことがあり(今、何もかも変えなすぎ!と叩かれている森保一監督とは対照的です)、私が見た試合のサッカーはたまたまだった可能性があります(たまたまであってもオプションとして経験させてたというのは良いことなんですけどね。森保一監督はオプションがありません)。で、検索してみたところ、どうやら私が見たやり方は、ハリルホジッチ監督がかなり意識してやっていたやり方だったようです。
 以下は、前回の「日本のサッカーじゃなくても、日本代表ではヨーロッパ型のサッカーをした方が良い」とは全く逆の結論となっている<ハリル氏の解任に学ぶ サッカー日本代表監督に必要な資質>〈AERA 栗原正夫)という記事ですが、内容的には重なるものがありました。

<ハリルホジッチ前監督が強調し続けた「デュエル(1対1の球際の戦い)」や「縦に速い攻撃」は元来、日本が不得意とする部分だった。言い方こそ違えど、かつての代表監督もW杯での失敗要因に「フィジカルの弱さ」(ジーコ)、「インテンシティ(プレー強度)の低さ」(ザッケローニ)と似たような指摘を繰り返していた。いわば、これは言わずと知れた日本の伝統的な課題で、一朝一夕に改善できるものではない。
 だからこそ、その後の指導者にはこの課題を理解したうえで、俊敏性や機動力など日本人のよさを生かしたサッカーが期待されていたのではなかったか。それでも、前監督は最後まで「デュエル」や「縦に速い攻撃」など自身の哲学にこだわり続けた。これでは夫婦関係は冷え切り、コミュニケーションがなくなるのは当然の帰結だった>
https://dot.asahi.com/aera/2018051600026.html
■2017/01/04:Jリーグはなぜ低レベル?そもそもレベルが低いって本当?

 ハリルホジッチ監督や本田圭佑など、Jリーグのレベルが低いという批判は多いです。ただ、その一方で鹿島が南米代表に勝って、レアル・マドリード相手にリードするなど活躍していまいました。
 これをもってJリーグのレベルが高いか?と言えるとそうではなくて、Jリーグのレベルを上げる必要性をある意味で再確認したところもある話ではあります。とはいえ、単にレベル低いで済まして来た人はどうかな?と思う活躍でした。
 以下は、鹿島の方でも書いた話で、Jリーグのレベルを上げる必要性を再確認、に関する記事。鹿島のメンタルが他のJリーグクラブとは段違いであるものの、それでもなおレアル・マドリードのメンタリティが上であることを指摘した上で、以下のように書いていました。

-----引用 ここから-----
本気でレアルに勝つつもりだった鹿島の善戦で、突きつけられた日本サッカーの問題点
週プレNEWS / 2016年12月20日 19時0分 中山 淳
http://news.infoseek.co.jp/article/shupure_77121/

では、どうすれば鹿島、ひいては日本のクラブが世界に追いつくことができるのか?

この問いに対して、石井監督は「こういうテンションの試合を続けないと、世界との差は縮まらない。そうしないと、今回チャンピオンになったレアル・マドリードには近づけない」と答えている。

確かに、今年の鹿島や昨年3位のサンフレッチェ広島も、CWCを戦う中で選手個々やチームは目を見張るような成長を遂げた。しかし悲しいかな、日常のJリーグに戻ると、CWCと同じテンション、レベルで戦える環境がないというのが現実だ。

それはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の舞台でも変わらない。石井監督の言葉は、自分たちが成長したくても、現状の日本サッカーの環境では限界があるという悲痛な叫びにも聞こえてしまう。

もっとも、これは日本だけの問題ではなく、北中米カリブ、アフリカ、そして南米のクラブにとっても共通した悩みでもある。もしかしたら、ヨーロッパ一極集中化が加速する現在のサッカー界では、ヨーロッパ以外の地域が手を取り合い、お互いを切磋琢磨できる舞台を新たに作ることが求められているのかもしれない。
-----引用 ここまで-----

■2017/01/04:日本版プレミアリーグ創設は、意外に悪くない案か?
 これで思い出したのが、立ち消えになった日本版プレミアリーグ創設という話。最初馬鹿らしい話だと思いましたし、一貫性のないJリーグなので結局実現しなかった話なのですが、上記の話を聞いて悪くない案のような気がしてきました。
 というのも、できるだけレベルの高い試合をするには、弱い対戦相手と戦う機会を減らす必要があるためです。

-----引用 ここから-----
J1の上に日本版プレミア!12年目指す - サッカーニュース : nikkansports.com
http://www.nikkansports.com/soccer/news/p-sc-tp0-20100729-659361.html

 基本構想はトップレベルの格上げだ。Jクラブの中で、資金面などで高い基準を満たす8から10クラブを選抜して国内トップのリーグを形成する。例えば、上位4チームのレギュラークラスは年俸1億円以上を目安にするなどの案もある。人気、実力を兼ね備えた選手を集めることで、リーグ全体の人気を高め、利益に結び付けたい考え。(略)

 93年に10クラブでスタートしたJリーグは、現在37まで増えた。増加により地域に根ざした身近なクラブは増えたものの、エンターテインメント性は薄れ、リーグ発足時ほど注目されなくなった。

 またクラブ間で、経営規模や目標も大きな差があるため、リーグ全体を同じ方針で運営することに限界も出てきた。12年には40クラブに達する見込みで、拡大路線には一区切りとなる。その後はリーグ再編が必須となっている。底辺拡大の指導役となってきた鬼武健二前チェアマン(71)は「40クラブまで増えた後のリーグのあり方については、今から考えておく必要がある」と話している。

 経営難に苦しむクラブの救済にもつなげたい考えだ。Jリーグは07年から11年までの5年にわたり、スカパー!と契約して年間50億円の放送権料を得ている。今後、契約更新の交渉が本格化するが、マンネリ化しつつある現状のままでは厳しい。新たな契約が始まる12年に「プレミアリーグ」が発足できれば、テレビ局側にとっても大きな魅力となる。好条件で契約できれば、各クラブへの配分金も大きくなる。 [2010年7月29日9時31分 紙面から]
-----引用 ここまで-----

 拡大路線は確かにどうかというところがありました。
 ただ、一見もっともらしく見える「またクラブ間で、経営規模や目標も大きな差があるため、リーグ全体を同じ方針で運営することに限界も出てきた」には疑問があります。
 上記には実力という言葉が入っていないので、わざとかもしれませんが、最近のJリーグはむしろ実力差が小さく、混戦となることが多いです。
 実力差の小ささは、参加クラブの多い現在のやり方であっても、前年にJ2だったクラブが上位争いすることが珍しくないことからもわかります。
 私がこの話を知ったのは2015年になってからですが、これがこの意見には賛成できないと思った理由でした。
 ただ、さっき書いたように、できるだけレベル差を減らすように促すという意味ではアリかもしれません。トップリーグのクラブ数が増えれば、自然とそこのトップ選手も集中することになりますからね。

■2017/01/04:高原直泰はJ2のレベルアップと日本サッカーのレベルアップを指摘

 もう一つ関連する話として、高原直泰がむしろ日本サッカーやJ2がレベルアップしたという話をしていました。何が根拠か?というと、どうもパス回しできるチームが増えたってことみたいですね。

-----引用 ここから-----
高原直泰「J2のレベルを考えてみても、日本サッカーの底上げが分かる」 | サッカーキング 2013.11.05
https://www.soccer-king.jp/sk_column/article/146250.html

――経験と言えば、高原選手は南米、ヨーロッパに続いてアジアでもプレーしました。韓国のKリーグについて、まずそういった話をしていました。

高原直泰 ハハハ(笑)。確かにそうですね、韓国にも行きましたからね。

――日本人としては、ライバル韓国の現状が気になります。

高原直泰 当時(10年)は14チーム、今はもっとあるのかな? 上位の6チームぐらいはすごくレベルが高いですよ。俺がいた水原三星もそうだし、FCソウルなんかもJリーグで優勝争いができるぐらいのレベルだったと思います。それに今はボールをつなぐサッカーができるようになってきた。以前は韓国と言えば、どちらかと言うとフィジカルを前面に押し出したゴリゴリ系のサッカーというイメージがあったじゃないですか。まあ、下位のチームは戦力的に蹴ってセカンドボールを拾うサッカーなんですけど、上位6チームには技術の高い選手が多くて、すごくいいサッカーをしていた。それに外国籍選手の質も高い。最近、韓国のクラブがACL(AFCチャンピオンズリーグ)で強いのは、そういうところに理由があると思うんですよね。日本にも韓国からたくさん外国籍選手が来ていますし。俺のいた水原は特にコンビネーションで崩そうとしていたから、やっていて、すごく楽しかったですよ。
-----引用 ここまで-----

 そして、J2について、同じ観点でレベルが上がったと述べているのです。

-----引用 ここから-----
――今は東京ヴェルディでプレーされていますが、J2のレベルはどう感じています?

高原直泰 昔見ていたJ2の試合って、本当にドッカンドッカン蹴り合っちゃっていて、あまり形になっていなかったんですよ。でも、今はそんなことないし、うちにもJ2全体を見渡しても、レベルの高い選手がすごく多い。特に今シーズンはガンバ大阪とヴィッセル神戸というJ1でも戦えるチームが降格してきたこともあって、他のクラブにとってはすごく刺激になるし、モチベーションが高まっていると思う。そういう気持ちで臨まれる彼らにとっては嫌だろうけど(笑)。こうしてJ2のレベルを考えてみれば、日本のサッカーは本当に底上げされてきているんだなって感じますね。
-----引用 ここまで-----

 ただ、この前にレベルに関してはわからないところもあると言っていました。リーグの特性が異なるためです。

-----引用 ここから-----
――その後、08年に6シーズンぶりにJリーグに復帰して、浦和レッズに加入しました。かつてと比べてJリーグのレベルは上がっていると感じました?

高原直泰 そこに関しては正直、分からない部分があるんです。というのも、自分にとっても久しぶりのJリーグで、なかなか順応できなかったから。やっぱりリーグが変わると全然違うんです。日本は前からどんどんプレスを掛けていって展開が早い。それは戻って来て、すごく感じました。ボカから戻って来た時、ジュビロのアドバイザーをしていたドゥンガに「お前は今、アルゼンチンの感覚に馴染んでいて、ボールを少し持ち過ぎているから、早くJリーグの感覚に戻せ」って言われたんです。わずか半年でもそうなのに、6年も離れていたんだから本当に難しかった。
-----引用 ここまで-----

 話がそれてしまいますが、高原直泰が行っていた当時見ていたアルゼンチンリーグはたいへん楽しかったです。何が楽しいってボールがほとんど外に出ず、ゲームが止まらないんですよ。なるべくボールを繋いだり、ドリブルしたりで、ゲームを続けようという感じ。
 安全性を考えると問題となる部分もあるものの、流れが切れないのですごく楽しかったんですね。なので、高原直泰がJリーグに戻ってきて戸惑ったというのもわかる気がします。

 もう一度Jリーグのレベル関連の話に戻ると、やはり違いを感じたというのが精神面でした。

-----引用 ここから-----
――南米というと、選手がみんなハングリーなんじゃないかという印象があります。

高原直泰 やっぱり生活が懸かっているというか、家族全員の生活を背負っている選手がたくさんいましたよね。日本とはサッカーをする動機も覚悟も違うなっていう。もちろん、歴史や環境の違いもあるんだけど、彼らから自分の人生を懸けてサッカーで生きていくという強い意志と覚悟が必要だと学ばせてもらいましたね。
-----引用 ここまで-----

 ただ、このよく強調されるハングリーさもどうかなぁ?と思うところがあります。スポーツ心理学では、楽しくプレーすることが重要だとされているため、ただ厳しくなければいけないとなってしまうのは、科学的根拠のない誤解ではないか?と思うところがあり、気になっています。