2023年7月19日水曜日

リフティングは意味ある?意味ない?才能を潰す日本のコーチ

■2021/02/21 意味ある?意味ない?リフティングが下手でも代表の中心に
■2021/02/21 リフティングができない子は除外…才能を潰す日本のコーチ
■2021/07/18 コーチに叱られる指導は日本だけ?アルゼンチン選手が語る

■2021/02/21 意味ある?意味ない?リフティングが下手でも代表の中心に

 <サッカーにリフティングはいらない? 下手でも日本代表になった選手の考え>(スポルティーバ 公式サイト web Sportiva)というタイトルを見た時点で思ったのは、「リフティングがうまい方がサッカーでは有利だけど、飽くまでリフティングはサッカーの一部でしかないのでできなくても大丈夫」という穏当なものでした。
 現代サッカーではGKでも足元の技術が求められるためにリフティングのうまさは役立つところがあるでしょう。しかし、リフティングのうまさが求められるプレーは90分間の中では短く、ポジションによっても差があります。正直言ってリフティングがうまくても他が駄目なら使い物になりません。
 「有機栽培野菜はいい野菜」という誤解みたいなものですかね。そもそも「有機栽培がいい」という考えそのものが誤解ですが、有機栽培は野菜の品質を決める一つの要素でしかありません。様々な条件によって決まってくるために、有機栽培かどうかというのは、ほとんど影響しないことがわかっています。
 あと、ビジネスにおける英語みたいなのもそうでしょうか。英語がうまい方がそりゃ良いですが、他が駄目なら困ります。一時期ネットでは英語社内公用語化を叩いていたものの、実際の導入企業は「英語だけできれば良い」という考えではありませんでした。

 で、先の記事<サッカーにリフティングはいらない? 下手でも日本代表になった選手の考え>ですが、てっきりちょっと日本代表に選ばれたことあるよ…くらいの選手だと思ったら福西崇史でびっくり。ジュビロ磐田の黄金期の中心メンバーであり、日本代表でも64試合7ゴールの戦績の守備的なMFでした。記事でも、2002年の日韓W杯、06年のドイツW杯に出場し、4度のJリーグベストイレブンという書き方です。
 守備的なポジションということで、やはりうまさはそれほど求められないところ。福西崇史は高い身体能力が売りというタイプでしたね。ただ、ジュビロ磐田でも当初はFWだったそうなので、それまでのサッカー人生ではリフティング技術を求められることがあったのかもしれません。


■2021/02/21 リフティングができない子は除外…才能を潰す日本のコーチ

<「リフティングが苦手」で、子どもの頃は「100回もできなかった」と話す。
「小学生の頃から、チームのなかで(リフティングは)上手なほうではなかったですね。だからイベントなどで『リフティングをやってください』と言われると、めちゃくちゃ緊張します。リフティングで、足をくるくる回したりするサッカー選手は多いけど、僕はできないので(笑)」
福西氏がサッカーを始めたのは、小学4年生の時。いまどきの子に比べると、はるかに遅いスタートである>

 日本の少年サッカーには「リフティングが○回できないと、練習に参加させない」といった決まりがあるチームも少なくないとのこと。福西も「僕もそのような場面に遭遇したことがあります」としていました。福西さんの息子がまさにそういうチームだったので、いっしょに練習したそうです。リフティングにこだわってしまうことで、サッカーの才能発揮を阻害している感じがあります。

<リフティングが上手だからといって、ピッチ上のプレーに直結するかというと、そうとも限らない。サッカーには足でのボールコントロール以外にも、蹴ったり、走ったり、ヘディングしたり、相手とぶつかったりと、たくさんのすべきことがある。
「リフティングはシュート練習、パス練習と同じで、サッカーの練習のひとつですよね。リフティングができなくても、ほかの部分に特長のある選手はいます。指導者目線で言うと、『リフティングができないから、この選手はダメだ』というジャッジはしないほうがいいですよね。リフティングだけが、サッカーの上手い、下手をはかる基準ではないですから」>

 あと、足先でボールを細かく突く、福西崇史が名付けた「ちょんちょんリフティング」が多い…と言われて、ハッとしました。これは本当にサッカーの試合で使われることは極めてまれ。なので、福西崇史は、インサイドでボールを突く「とんとんリフティング」もやるように勧めているそうです。


■2021/07/18 コーチに叱られる指導は日本だけ?アルゼンチン選手が語る

 日本のサッカー指導に関する話があったのでここに追記。ただ、その話はちょっとでしたし、当初の中心であるリフティングは一切関係なし。もともとは、<アルゼンチン代表が28年ぶりにタイトル獲得。メッシ34歳にして、ついに初栄冠!>(林壮一 | ノンフィクションライター 2021/7/12(月) 0:01)という話でした。
 これは、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執っている、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロさんに、コパアメリカでVを飾った祖国代表チームについて聞いたというものなので、大半はそういった内容です。ただ、最後でコーチに関する話が少し出てきました。

<サッカーって楽しいものです。でも、日本人は小学生の頃から監督やコーチにガミガミ言われ、怒鳴られ、時には暴力まで振るわれている子がいっぱいいます。
 メッシもネイマールも、今回のコパアメリカに出場した選手たちも、そんな妙な指導は受けていません。日本で、誰もが心底サッカーを好きになれる指導をしなければと、改めて感じました>
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210712-00247465/

 「体罰」に関して言えば、サッカーは野球より少ないという調査結果を見たことがあります。ただ、少なかったとしても、「ある」という時点で海外から見ると異常なんでしょうね。セルヒオ・エスクデロさんから見ると、スポーツ以外でも日本人が多用する「叱る」すら異常に見える模様。実際、研究結果でも叱る教育は効果が高いわけではないとわかっているので、この理解で良いと思われます。