2023年3月9日木曜日

常識はずれの帝京長岡 フットサルとの二刀流・下部組織があり飛び級も

■2019/01/08 前代未聞!PK戦でのべ38人がキッカーに、放送時間内に収まらないことに…
■2019/01/08 常識はずれの帝京長岡 フットサルとの二刀流・下部組織があり飛び級も



■2019/01/08 前代未聞!PK戦でのべ38人がキッカーに、放送時間内に収まらないことに…

 地元北海道代表・旭川実業の全国高校サッカー選手権大会1回戦は、和歌山北。見るつもりはなかったので、チラチラっと覗いただけでした。
 そのチラチラっと見た感じだと、技術的には旭川実業の方が上。また、前線からのプレッシャーもよく頑張っていて、なおかつ取れていました。技術以上に、このプレスを頑張るところの方が良さだという印象。ただ、次の試合の放送では、私の印象とは逆に、初戦はむしろ前からのプレスが弱かったと言われていました。
 2戦目の解説では、冬はハウスを改造したところで、技術を磨いているといった話も。かつての北海道の常連校・室蘭大谷も体育館練習のミニゲームで細かいパス回しを武器としました。北海道らしいですね。

 2戦目は、もう少ししっかり見ました。相手は新潟代表の帝京長岡。旭川実業同様に比較的新しく強くなったという高校という紹介。私もそういうイメージで、サッカーを見なくなってから出てきた高校。ともに今大会が初観戦でした。
 で、この帝京長岡ですけど、おもしろいですね。クラブチームじゃないのに長岡ジュニアユースFCという下部組織があって、その出身者が主体です。3歳や4歳で入団などと言っていたので、小学校より下の部門もあるのかもしれません。
 また、初戦では技術が上だと思った旭川実業ですけど、帝京長岡の方がさらに上。最初紹介なかったので(聞き逃したのかも)わかりませんでしたが、年代の代表選手もいました。旭川実業が初戦で取れていたプレスをかわされてしまって、バランスが崩れるところが多数。DFラインに危なっかしさを感じます。帝京長岡が初戦大6得点とも言っていたので、点を入れられるとバタバタと取られそうだと感じました。
 初戦も2点取った中盤のMF山内陸選手(3年)がタイミングの良い強烈シュートで美しく決めて先制したのは旭川実業の方でしたが、やはり立て続けに失点して帝京長岡に逆転されます。ただそれ以上は崩れませんでしたし、DFラインの問題とも言えない感じ。
 前半はすっかり抑えられてしまって後半、旭川実業はメンバーを入れ替えて切り替えてきました。リスクかけてピンチもありつつも、点を奪えそうなところが出てきます。ただ、20分過ぎても結果が出ず。気持ち的にも体力的にも切れるだろう…と思ってみていました。ところが、旭川実業の選手たちは落ち着いてやり続けていますし、動き続けていました。大したもんですね。きついと思ったものの、同点ゴールを決めてPK戦まで行きました。
 その後のPKは見ていなかったのですけど、なんとこのPK戦が記録的なものに。てっきり録画だと思ったら生放送で、放送時間内に終わらなかったみたいです。

<PK戦は大会史上最長の死闘となった。後攻の旭川実は1人目が失敗したが、帝京長岡も4人目が失敗。サドンデスも両者成功が続き両GKが成功して2巡目に突入すると、13人目がともに失敗。そこから5人連続で成功し、帝京長岡19人目の矢尾板が右足で沈めると、旭川実の19人目のPKを猪越がストップし、決着がついた。高校サッカー史に残る一戦は、のべ38人が蹴ったPKは全てが枠を捉えたことも衝撃だった>
(大会史上最長のPK戦は17-16で帝京長岡に軍配!のべ38人のPK全てが枠内 | ゲキサカより)


■2019/01/08 常識はずれの帝京長岡 フットサルとの二刀流・下部組織があり飛び級も

 前述の通り、選手的に目についたのは、帝京長岡の方でした。

<帝京長岡>
4-4-2
RSH 田中克幸(2年)
 帝京長岡はどの選手もうまいのですけど、彼はちょっとおもしろいドリブルをしていた記憶。斜めに反対サイドに近いところまで行き、うまく裏を取るような走りも。
LSH 谷内田哲平(2年)
 U-16代表だそう。姿勢よくピンと伸ばした姿勢での印象的な持ち方。この体勢なので視界を確保できます。もちろんテクニックも抜群で、取られませんね。自信持ってプレーしている感じ。また、良いパスも出せます。FWの晴山とは幼い頃からずっとやっていて相性抜群らしく、今日もアシストしていました。
FW 晴山岬(2年)
 主に左サイドで幼馴染みの谷内田と良いコンビネーション。ワンタッチでターンできる良い触り方していました。また、シュートのイメージを持ちながらプレーしており、技術が追いつかなかったところでも良いセンスを感じさせます。裏の取り方も良いものを持っていました。
FW 矢尾板岳斗(2年)
 途中交代で出場時間が短くよくわからなかったものの、彼もテクニックに良いもの持ってそうな感じのドリブル。攻撃の4人は3人が2年生で、彼も2年生。帝京長岡は来年も楽しみにできそうです。

 帝京長岡はその後、小嶺忠敏監督が率いる長崎総科大附に先制されながらも、焦らずにパスサッカーを貫いて2試合連続の逆転。ベスト8の尚志戦でも先に失点。ここは守備的な中盤を増やされて崩しきれなく敗退したようです。
 テクニックについてですけど、帝京長岡も特徴ありました。以下のように、フットサルとの二刀流という特徴があるんだそうな。

"長岡JYFCと帝京長岡はフットサル、サッカーの「二刀流」で知られている。彼らはU−12年代こそ3位にとどまったが、U−15年代、U−18年代ともフットサル日本一を経験。18年8月の第5回全日本U−18フットサル選手権大会では晴山が得点王、MVPにも輝いた
 フットサルはコート、ゴールが小さく、サッカーに比べてより緻密なプレーを要求される。晴山は11人制に生きているエッセンスをこう説明する。
「フットサルはゴールが小さい分、逆を突かなければ絶対入らない。キーパーの目とか重心を見て、どちらに打てば反応しづらいかを考えて、強いシュートを打っています。あとフットサルはトーキックでシュートを打つことがある。トーキックはあまり浮かないですし、スピードも出て、キーパーが取りづらい」
 晴山に限らず、帝京長岡の選手が「低く強くふかさずシュートを蹴れる」のは、フットサルで得たスキルかもしれない"
"彼らは小学生時代から全国区だった。2014年1月に開催された第24回全日本フットサル大会で3位に入ったのが新潟県代表のヴェールメリオ。これは長岡トレセンの選抜チームで谷内田や晴山、矢尾板岳斗ら長岡JYFC勢が主力だった。谷内田は津久井匠海(現横浜F・マリノスユース)、生井澤呼範(現鹿島アントラーズユース)らとともに、大会ベスト5に選ばれている"
(帝京長岡の快進撃を支える3つの取り組み  高校サッカーの枠にとらわれず、8強進出 - スポーツナビより)

 また、事実上の下部組織での飛び級というこれまた前代未聞のやり方もしているとのこと。本当おもしろいところですね。

"高校サッカー選手権に中学生を出場させることはできないが、プリンスリーグ北信越なら制度的に帝京長岡が長岡JYFCの選手を起用できる。(中略)例えば谷内田は中学2年生の春(15年4月5日の新潟西高戦)から、プリンスリーグで先発起用されていた"