■2018/09/11 日本で前代未聞のPK戦だけ後日やり直しで、勝利クラブが敗退に
■2022/05/09 日本でまた前代未聞の再試合!やはり審判のルール不理解が原因
■2018/09/11 日本で前代未聞のPK戦だけ後日やり直しで、勝利クラブが敗退に
こんなことあったの?と驚いたのが、 前代未聞の「後日PK戦だけやり直し」です。日本の天皇杯の話で、プロチームがやっている試合で起きたことでした。
2018年6月6日に行われたJ1名古屋グランパスとJFL奈良クラブとの試合は、1-1のまま延長でも決着がつかず、奈良がPK戦5-4でジャイアントキリングを果たしていました。
しかし翌日、試合を見ていた「3級審判員の資格を持っている」というファンからの電話で、PK戦のルール適用に関する間違いの指摘が、日本サッカー協会にありました。
6日の試合は、奈良の3番目のキッカーが失敗し、2-4で迎えた奈良4番目のキッカー金久保は助走から左足で2度ケンケンし、右足でゴールを決めました。しかし、清水主審はフェイントと判断し、やり直しを命じます。ただ、金久保は2度目のキックも決め、名古屋はその後、2人連続で失敗。6人目のキッカーで勝負が付き、奈良クラブが3回戦に進出となりました。
私の理解だとこれはルール通りというもので、何が問題なのかわかりませんでした。実際、 一昨年ならこのルールで正解だったようです。
しかし、FIFAのルール変更で、昨シーズンから、審判がフェイントと判断した場合、そのPKは失敗と見なすことになっていたんだそうな。私がサッカー観ていないうちに、そんな変更があったんですね。
この新ルールなら、奈良クラブ4人目の金久保は失敗となり、その時点で名古屋の突破が決まるはずだったとのこと。勝っていたのは、本当は名古屋だったんです。
だとすれば、後日 やり直しも必要なかったのですけど、天皇杯実施委員会は<1>名古屋の勝ち<2>PKからやり直し<3>奈良クラブの勝ちの3パターンで議論した末、PK戦の最初からのやり直しで最終決定。
このやり直しPK戦も、7-6と接戦になりましたが、無事本来のルール上での勝利者であった名古屋が勝ちました。ただ、一度逆の勝敗が決まっていただけに、両チームともに複雑な思いであったと思われます。
(天皇杯、前代未聞のPK戦やり直しは名古屋の勝利 - 天皇杯 : 日刊スポーツ[2018年6月28日19時52分]より)
■2022/05/09 日本でまた前代未聞の再試合!やはり審判のルール不理解が原因
上記の<日本で前代未聞のPK戦だけ後日やり直しで、勝利クラブが敗退に>を思い出す話がありました。またもや日本で前代未聞という感じの再試合に。やはり審判がルールをわかっていなかった…というものです。
以下の説明はわかりづらいですが、ルール上イエローカードにもならないプレーをレッドカードにしてしまったということのようでした。
<Jリーグは4月5日、競技規則の適用ミスがあったJ2リーグ第8節のモンテディオ山形対ファジアーノ岡山の一戦(0-1)の取り扱いについて、再試合にすると発表した。
山形対岡山の一戦では、前半10分過ぎのジャッジへ疑惑の目が向けられていた。山形GK後藤は、味方からのバックパスが無人のゴールに向かった際、手で掻き出し難を逃れたが、このプレーに対して清水修平主審はレッドカードを提示し、一発退場を命じた。
競技規則の第12条には「ゴールキーパーが自分のペナルティーエリア内で、認められていないにもかかわらず手や腕でボールを扱った場合、間接フリーキックが与えられるが、懲戒の罰則は与えられない」との記述があり、競技ルールの適用ミスの可能性が浮上。山形側も声明を発表する事態に発展していた。
Jリーグは4日、このジャッジについて「勝敗の決定に影響を及ぼす、担当審判員による明らかな競技規則の適用ミスがあったことが確認されました」と発表。さらに5日、日本サッカー協会(JFA)を通じて国際サッカー評議会(IFAB)にも確認したうえで臨時実行委員会および臨時理事会を開催し、協議した結果、「山形は約80分間にわたって1人少ない状態で試合を行うことになり、試合の結果に重大な影響を及ぼし得た」として、再試合とすることを決定した>
(J2リーグ「山形対岡山」の再試合が決定 J発表、競技ルール“適用ミス”「重大な影響を及ぼし得た」 22/4/5(火) 18:28配信 FOOTBALL ZONEより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9f57556911a26748e3a09f0c87af756bd7caffe
ということで、ルール上は審判の間違いなのですが、本来なら失点というプレーをファールで止めても、退場はおろか警告すらなく、PKにもならず、間接フリーキックという甘すぎる処分というのは納得いきませんね。同じページで書いている<スアレスがやったハンドでゴール阻止も無効に>を思い出しました。
ヤフーニュースのコメント欄でも同様の感想が出ています…と書いて今見たら逆に「問題ない」の声が優勢に変わっています。例えば、以下が1番人気でした。
<今回のケース、決定機阻止した反則なのにGKが退場にならないルールは、なんかおかしくないか?という、ルールに問題があるような意見がまま見られる。
しかし考えてみればGKというポジションは、プレーのほとんど決定機を阻止するためにある。それが仕事ですから。
だから、味方のミスで発生してしまったバックパスという反則で、GKを退場にするのはさすがに無理があるように思えます。
GKが警告や退場処分を受けるのは、明確に相手選手のプレーを妨害した時のみ、という考え方は正しいと私は思います>
ただ、私が見たときは、そもそも「ルールがおかしいから再試合はするな」という意見ではなく、「今のルールとしては審判が間違っているし再試合は正しいけど、反則に比べて罰則が甘すぎるので将来を考えてルール改正すべきでは?」という穏当な意見が1,2番人気でした。上記の反論は、わら人形論法的になっています。
また、「GKというポジションは、プレーのほとんど決定機を阻止するためにある」はよくわからない理論。現代のGKは以前より多くのものを求められていますし、相手の決定機を阻止するためのポジションだからと言ってフィールドプレーヤーと扱いを変える理由はないでしょう。
「明確に相手選手のプレーを妨害した時のみ問題」の考え方をフィールドプレイヤーに適用した場合、味方由来のボールをフィールドプレイヤーが手で扱っても厳罰にはらないということになりますが、それなら「おかしい」という声が多いはず。相手が蹴ったボールか、味方が蹴ったボールかは、特に関係ないと思うのですが…。
なお、バックパスルールって、かなり新しいルールなんですよね。バックパスルールはアイルランド代表GKパット・ボナーの時間稼ぎ行為が話題となった1990 FIFAワールドカップ終了後、時間稼ぎのプレーや、過度に守備的なプレーを減らすため1992年に導入されたものです。
逆に言うと、それまでは味方からのバックパスを手で扱ってもOKでした。罰則が軽いのはこうした歴史的経緯が関係しているのかもしれません。時間稼ぎのプレーや、過度に守備的なプレーを減らすことが主な目的だったため、バックパスによる失点を手で防ぐファールについては深く考えていなかった可能性もあります。
また、バックパスを手で扱うのが反則じゃなかった時代の古いサッカー好きには、「別にいいじゃん」的な感覚も残っているかもしれません。ヤフーニュースのコメント欄の人たちはこうした話には触れておらず、おそらく歴史的経緯は理解してなかったものと思われますが…。