2026年7月13日月曜日

日本を見ろ!ワールドカップ直前の監督交代は無謀と涙の訴え

■2018/04/09 W杯イヤーのハリル監督解任はあり得ない
■2018/04/10 親善試合で結果を出す代表監督はむしろ悪い監督である理由
■2018/04/11 ロシアワールドカップで成功したときが、本当の地獄
■2026/07/07 日本を見ろ!ワールドカップ直前の監督交代は無謀と訴え
■2017/02/16 日本代表はなぜ弱いのか?岡野俊一郎元JFA会長の指摘





■2018/04/09 W杯イヤーのハリル監督解任はあり得ない

 馬鹿じゃねーのか?と驚愕。「W杯直前」と言って良い時期に代表監督を変えるなんて、あり得ません。しかも、W杯予選を突破した監督です。
 ショック療法的に本番がうまくいったとしても、長期的に見れば終わっています。
 日本代表でも多いのですけど、W杯予選または直前の練習試合で好調だったのに本番でボロクソということがあります。これは戦い方がワールドカップモードになっていないことや、ピークが本番より前になっているため。なので、練習試合を標準に合わせるのは、むしろアホなのです。
 ところが、今回の解任のせいで、以降の監督は、練習試合でも結果を出す必要があり、テストもやりづらくなります。日本はサッカー協会のレベルが低すぎでしょう。

 スポンサーの影響があったんじゃないか?という報道があり、これはさらに最悪。幼稚すぎます。

"12月の東アジアE―1選手権では宿敵・韓国に1―4と惨敗し、スポンサーからも不満の声が上がっていたという。この時点でハリル解任の可能性が浮上しながら決断するに至らなかった協会も、選手とスポンサーからの突き上げに事態を静観するわけにはいかなくなった。事実上のクーデターだ"
(選手とスポンサーから突き上げ ハリル解任は“クーデター”|日刊ゲンダイDIGITALより)

 反応を見ると賛否は半々くらいであり、これはハリル監督がすごく嫌われていたということなのですけど、好き嫌いで判断してはいけないこと。たとえハリルサッカーをクソだと思っていたとしても、反対せねばいけません。


■2018/04/10 親善試合で結果を出す代表監督はむしろ悪い監督である理由

 このタイミングで解任について、サッカー専門誌「footballista」の浅野賀一編集長は、「なぜ、準備期間がほとんどない今なのか。サッカーの常識ではあり得ない判断なので、それ以外の論理が働いたのかなと思いました」としていました。

 ただし、前述の通り、ファンの賛否は半々。これだとファンもサッカーの常識を理解していない人が多いということになります。
(ハリル、W杯直前の解任に専門家「日本サッカーの後退」( 2018/04/10 06:31 徳重辰典 BuzzFeed )より)

 インタビューアーは「この時期の解任となるとアフリカや中東諸国くらいで、他の国ではほぼ見ません」と指摘。ハリル監督はコートジボワールで似たような辞めさせられ方をしており、やはりサッカー先進国の例ではありません。
 浅野賀一編集長も「 アフリカや中東諸国など組織のオーガナイズがない国が一時期の感情に任せてやってしまうパターン」と一刀両断しています。

 浅野賀一編集長は、親善試合は「本番へのテスト」であって、そこでのパフォーマンスに意味はないとも指摘。これは本来常識なんですけどね。
  また、むしろ親善試合でベストであるのはマイナスであるとも指摘していました。「ジーコやザッケローニのチームはメンバー固定で目の前の1試合1試合を全力で戦うクラブチーム的なやり方で、本番では相手チームに研究され、丸裸にされて敗れました」という見方です。


■ 2018/04/11 ロシアワールドカップで成功したときが、本当の地獄

 田嶋幸三会長は「1%でも2%でも、ワールドカップで勝つ可能性を追い求めたい」と、繰り返し語ったそうですけど、それこそ一番ダメなことだろうという指摘がありました。 1%や2%のために監督を解任していたら、長期的なプランは持てないためです。
  これは、目の前の試合以上に大切な長期的な戦略が置き去りにされています。戦争でもビジネスでも、戦略が大事というのは常識。"日本サッカー協会が発表したハリルホジッチの解任は、戦略を捨てた戦術"なわけです。

 ロシアワールドカップの戦績は重要ではないとも指摘されていました。それだけでなく、下手に成功してしまった方がまずいとの指摘。
 チェス世界王者だったガルリ・カスパロフさんは、「長期的に見てもっと危険なのは、悪い戦略がよい戦術やまったくの幸運のために成功するケースだ」としているそうです。
 下手に成功してしまうことで、間違ったやり方を良いと思って、正しくないやり方を続けていき、結果的によりダメになるということでしょう。ロシアワールドカップで成功したときが、本当の地獄です。
(【コラム】ハリルホジッチの解任は“戦略なき戦術”。広がり続ける、日本と世界の差-LEGENDS STADIUM  清水 英斗 ・ 2018.4.10 より)





■2026/07/07 日本を見ろ!ワールドカップ直前の監督交代は無謀と涙の訴え

 ”チュニジアDFが涙の訴え「無理に決まってる」「日本代表を見ろ」日本ファンも「辛い」と同情”(ワールドカップ2026 : 日刊スポーツ[2026年6月22日8時20分])という記事が出ていました。

<チュニジア代表(FIFAランク45位)の1次リーグ敗退が決まった。日本(日本代表(同18位)に0-4で完封負け。「白シャツの魔術師」ことエルベ・ルナール新監督が緊急招へいされたが、立て直せなかった。
 そんな中、ネットで話題となっているのが、チュニジア代表のDFアリ・アブディの悲痛な訴え。「BeIN Sports」の取材に対し「W杯の直前になって『チームを若返らせる』『新しくしよう』などと言って、本大会の1カ月前に新しい監督を呼んで、新しいチームを急造した。そして、何年も前からこの大会のために準備をしてきたような、高いレベルの強豪国と戦おうとしている。そんなの無理に決まっている」と感情的に話した。
 さらに「今日の日本代表を見てみろ。彼らは2022年から、ほとんど同じメンバー、同じチームで戦い続けている。何年もかけて積み上げてきたチームなのだ」と日本にも言及。その上でルナール新監督らに対して「今回のために集まってくれた今のスタッフには申し訳ない」と涙ながらに謝罪の意を示した。>
https://www.nikkansports.com/soccer/worldcup2026/news/202606220000103.html?cx_testId=397&cx_testVariant=cx_1&cx_artPos=1#cxrecs_s

 日本を例にしていたのですけど、どこの監督の話の話題だったか、今回テレビ解説で、ワールドカップ直前の監督交代はうまくいくチームとそうじゃないチームがあるとして、うまく行った例として2018 FIFAワールドカップでハリルホジッチを解任した日本の例が出ていたんですよね。
 日本を見ろ!だったのですが、日本を例にしてしまうと、直前の監督交代はあまり影響していないように思えます。

 ただし、2018 FIFAワールドカップの日本の成績が成功とみなすかどうかは、微妙なところがあります。
 まず、日本のレベルであれば、グループリーグを突破した時点で成功というのは、理解できるところ。最近は連続突破しているものの、2018年までの時点で毎回突破できていたわけではありません。
 一方、2018年の結果をより詳細に見ると、日本の成績はそれほど良くないとも言えます。あまり知られていませんが、FIFAでは、ベスト16で負けたチームの中でも順位付けしており、当時の日本の総合順位は15位。ベスト16で負けたチーム内でも最低レベルの順位でした。

 この順位付けは、勝ち点などによります。日本は1勝2敗1分けの得失点差-1。負け先行で、なおかつ得失点差がマイナスになっていることからも、あまり強さがなかったことがわかりやすいです。
 さらにこの日本の唯一の勝利が大問題。日本の勝利は1試合目のコロンビア戦なのですけど、コロンビアは試合開始早々にハンドリングしてレッドカードが出た選手がいて自滅のような負け方。ほぼ1試合(85分程度か)1人多い状態で戦えたのですから勝って当然で、得点差がある勝ち方をして良かったくらいのところを追いつかれて苦戦した末になんとか勝っています。だいぶ酷な言い方をしてしまうと、相手の退場で運よく勝利しただけで、あとは勝ててなかった…という状態。中身を見ると、あまり成功とは思えません。
 ただ、まあ、実際に成功したかどうかは関係なく、成功だと信じられているのなら、人はそれを元に動きますからね。将来の日本代表の監督人事を考えると、憂うべき状態だと思われます。

 なお、2018 FIFAワールドカップの日本代表に関して言えば、監督は変えたものの、選手が一新されたわけではなく、かなり(ほとんど?)のメンバーがハリルホジッチ時代にも選ばれていた選手でした。これはチュニジア代表のDFアリ・アブディの悲痛な訴えの内容とはだいぶ違う感じです。
 実際問題、人選を変える以外で、新しい監督ができることと言うと、そもそも時間がないということを考えると、あまり多くないでしょう。例えば、守備のやり方などのチームの約束事は、本来、長期間かけて作っていくものです(長年いっしょにいないため、代表はクラブチームより難しいです)。その意味では、ハリルホジッチ時代の貯金があったからこそ、なんとかグループリーグを突破できたとも言えるかもしれません。




■2017/02/16 日本代表はなぜ弱いのか?岡野俊一郎元JFA会長の指摘

 最近の話じゃなくて、ブラジルワールドカップのときの記事を今頃読みました。元JFA会長の岡野俊一郎氏とフリーアナウンサーの金子勝彦氏の対談です。


 岡野俊一郎さんにとっては、日本代表の惨敗は想定内。「開幕直前に予想出来たので、残念でしたが僕にとってはショックではありません」としていました。
 理由はいろいろと挙げられています。まず、準備段階のミス。

・準備段階で犯した最大のミスは、指宿で愚かなトレーニングキャンプ。あそこまでハードなトレーニングを積む必要はなかった。心身ともに疲弊した状態で時差もあって気候も異なるフロリダへ行っても回復しない。ザッケローニ監督以下コーチングスタッフのミス。
・ブラジルに入ってからのコンディショニングにも問題。比較的涼しいベースキャンプ地のイトゥから前日に試合会場に入っていたけれども、南米のチームですら2日前には開催都市に入って気温と湿度に慣れようと必死だった。

 また、采配やチーム作りのミスも指摘。私もこれまで異常と思えるほど頑なにやってきたのを、土壇場で台無しにしたのにはびっくり。絶えず臨機応援にやっていたのならわかるんですが、「お前、全然変えてなかったじゃん!」っていう。

・日本のリズムで攻めて勝とうと考えていたのならば、いままで日本の攻撃のリズムを作っていたのは遠藤。守備に比重を置いて戦うのならばそれでもいいけれども、これではリズムが出るはずがない。信じられない起用法。
・国際的にもある程度の評価を受けた本田と長友、香川の3人が固まって、そうではない選手たちを見下すような風潮がチーム内にあったと聞いた。(これは金子勝彦アナ)

 そして、これらは日本サッカー協会のミスが遠因です。ザッケローニ監督ははるか昔の栄光を引きずっているだけで、実績的にも皆無に等しかったです。

・コーチ陣の中に日本人がいないのは、ザッケローニ監督と契約を交わす際に、日本人コーチを入閣させなかった日本サッカー協会の技術委員会のミス。分析とフィジカルのアシスタントコーチがいるだけでは、選手たちがどのような状態にあるのかが正確に伝わらない。
・ナショナルチームの監督を務めた経験のない人間に指揮を任せたらどうなるかは、ジーコ監督の下でグループリーグ敗退を喫したドイツ大会で学んでいるはず。ジーコが鹿島アントラーズを強くしたのは事実だが、常日頃は自分の手元に選手がいないナショナルチームを率いるには、各クラブとの連携を密にして、選手たちのコンディションを把握する必要がある。にコミュニケーション不足が生じやすい。
・にも関わらず、ザッケローニ体制では、首脳陣と選手の間を取り持つべき人間が不在だった。
・原博実も強化のトップである技術委員長と実務方のトップである専務理事を兼任するなんて非常識。どちらか一方を辞めるべき。
・会長在任中に役員を育てようとしなかった私と川淵三郎に責任がある。